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福島「原発と人権」研究・交流集会に500人超 今後の原発反対運動への指針探る 法律家・科学者・研究者・ジャーナリストが結集

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 初めての「『原発と人権』全国研究交流集会in福島」が、4月7日、8日の両日、福島大学キャンパスで開かれた。日民協などの法律家団体、日本科学者会議、日本ジャーナリスト会議などの実行委員会が主催、福島大学、日本環境会議、福島の福島民報、福島民友の2新聞社、日本マスコミ文化労組会議、マスコミ関連九条の会連絡会などが後援、全体集会のほか、6つの分科会と、青年・学生交流会が開かれ、全国から500人を超す専門家、市民などが参加した。
 集会は、最後に「被害はなお継続し、解決の見通しは立っていない。共通の認識を広げ、国と東電の責任を明らかにすることが大切だ。日本国憲法は幸福請求権、平和的生存権、居住権、教育を受ける権利、労働権、財産権を保障しており、国も自治体も人間の尊厳の回復と、完全賠償のために、その実現への責務を負っている。分野を超えた幅広い協力と連帯が必要だ」とのアピールを採択した。(注1、別項)
 全体集会でも、各分科会でも、地元の住民の生の声を聞き、現在の問題を総まくりして議論、これからの運動の方向性をさぐる意味で,重要で有意義な集会となった。

 ▼被災者、避難住民は「国内避難民」
 7日午後1時半から始まった全体集会は、320人収容の階段大教室が一杯になり、50用意した補助イスを入れても立ったまま話を聞く人が出るほどで420人超が集まった。最初に豊田誠・実行委員長(公害弁連代表委員)が挨拶、「われわれは、専門家が連帯して公害反対運動を広げた経験を持っている。原発という未曾有の災害を乗り越えるために、その責任の明らかにし人権に立ち戻って闘う運動を目指して語り尽くしてほしい」と述べた。このあと在任中、原発に反対したため失脚したといわれる佐藤栄佐久・前福島県知事が会場に駆けつけ挨拶した。
 このあと、基調講演に入り、各地の原発訴訟にずっと関わってきた、岩波新書「原発訴訟」の著者で、現日弁連事務総長の海渡雄一・弁護士が「福島第一原発事故の原因と責任」と題して、これまでの裁判を総括するとともに、福島原発事故については、@外部電源の喪失は津波が原因ではないA配管破断が生じた可能性があるB津波も予測されており、シビアアクシデント対策は不適切だった−などを指摘。「ドイツでは倫理委員会が福島事故によって電力をつくるほかの手段があり、原発事故のリスクが大きいことが明らかになった、として原発停止の結論を出した。日本ではこうした理性的、倫理的な判断がされていない」と強調した。(注2・海渡氏の「基調報告」は別項参照)
 さらに、海渡さんは、「ストレステストは再稼働の安全性の判断の前提とならない。大震災の被災者で避難を余儀なくされている人、広範な放射性物質による環境汚染から逃れるため自らの住居や居住地から離れることを強いられている人は、国連憲章でも認められた国際人権保障基準に基づく国内避難民だ。これらの人々に人道的支援を行うのは国の責任だ」と述べ福島原発事故被害者援護法の制定を」と呼びかけた。
 
 ▼お金はいらない、元に戻せ!
このあと、地元の自治体首長、各層市民の訴えに入り、飯舘村の菅野典雄村長、双葉町の井戸川克隆町長を挟んで,市民が次々と登壇した。
 冒頭に訴えた菅野村長は「1700世帯6000人の純農村だった飯舘村は、自主自立で循環型社会を目指す村づくりをしてきたが、原発事故で全村避難になった結果、2代、3代同居していた家族がバラバラにされ、現在世帯数は2600になってしまった。年寄りの健康悪化や痴呆、無気力などが広がっている」と話した。
 村長は「家族を失った気仙沼の少女をテレビで見て涙をこらえられなかったが、泣いてわめいて心に傷を負って、いずれゼロからスタートできると思う。しかし、放射能はゼロからのスタートができない。世代を超えてたたかいながらやっていくしかない。何人の人がそれをわかっているだろうか。もう一つは、他の災害の場合、家族も地域も自治体も結束するが、放射能は全く違い、心が離れ、分断させていく。年配者と若者、夫と妻、自治体、県同士でも違っている。三宅島などでの帰村率は70%くらいだが、放射能ではもっと低い可能性がある」と述べた。
 菅野村長は、「お金はいらない、元に戻せ、が要求だ。勤労意欲をなくさせてしまうのではなく、早く生活を保障して、何かできる方向に切り替えていく必要がある。アテネの市民は市民になるとき『この土地をよりよく美しくする』と誓約書を書いたという。30年40年後にバトンタッチしていけることがないと、避難生活はあまりにもつらい。あとの時代に『よく頑張ってくれた』といってもらえるようにがんばっていきたい」と訴えた。
 また、最後に発言した井戸川双葉町長は、「東電が来たときから事故が心配だった。国策民営の中での原発を誘致したことについて、その市町村長としてまずお詫びしたい。知識、人的資源で事故はないと信じてきた。それなのに、恐ろしい事故を福島県が担ってしまった。残念だし、悔やんでいる」と切りだした。
 井戸川町長は、「2キロ、3キロ、10キロと避難が拡大した。どうしたらいいかわからなかった。住民避難の最中に1号炉の爆発が起きた。とうとうやってしまったな、と思ったが、老人施設や厚生病院の患者など300人が被曝した。無我夢中の中で避難をした。川俣の皆さんにお世話になり、大きいところ、大きいところ、と求めて、埼玉のスーパーアリーナにお世話になっている。館長室を町長室にし、そこで寝泊まりをしている。すぐ寝られるし、朝も早起きできるので便利だが、いろいろ考えることは多い」と述べ、「政府の危機意識のなさ、自分のこととして扱わない報道には絶えず怒りを感じている。権限とカネがほしい」とも強調した。
 そして、「放射能を扱う場所には、放射能管理区域の区分があり、普通の人が入っていけない区域があるが、そんな場所ができてしまった。放射能には避難しかない。日本初めての事故で、間違った歴史を残してはならない一心でがんばっている」と締めくくった。

 ▼農業への影響、教育への影響…続々
 地元の住民では、福島市の長谷川浩さん、佐々木健三さん、佐藤晃子さん、南相馬市の大貫昭子さん、白河市の小泉繁男さん、伊達市の齋藤寛治さん、楢葉町の金井直子さん、双葉町の伊沢史朗さんが次々と発言、併せて、玄海原発の地元、佐賀県の長谷川照さんが玄海原発の闘いを報告した。それぞれの報告要旨は次の通り。
▽長谷川浩さん(福島市・福島県有機農業ネットワーク) いま私たちは自らの手による汚染マップをつくっている。日本の場合は雨が多く田んぼがあることに特徴がある。里山が汚染されて水が流れてくる。農地については、作付けを禁止するのではなく、作付けしてきちんと調査をし、高濃度の米は出さない、問題のない米は出荷できるようにしないとおかしい。耕すことは農家の権利。「放射能に克つ農の営み」という本を作った。
 ▽佐々木健三さん(福島市・酪農家) 原発は先人が築いた農業を破壊した。汚染されて牛乳が出せなくなっただけでなく、牧草が使えなくなり、40日間出荷停止になった。避難した酪農家の家では、牛舎でつないだままの牛が白骨化していた。福島市は桃、なし、リンゴ、サクランボなど果実の生産地だがこれも直撃された。被害は「風評」ではなく、実害だ。北海道から10トンの牧草が届き、本当に嬉しかった。移住してこい、という誘いもあるが、「負けてたまるか」。この地で頑張りたい。
▽佐藤晃子さん(福島市・ふくしま復興共同C放射能対策子どもチーム) 高校生と小学生、保育園の子どもと学童指導員の夫と原発から60キロ、放射能が高い渡利に住んでいる。きのう入学式だったが、学校では1クラス分の子どもが減り、幼稚園は全保育園で定員割れした。子どもはマスクに長袖で登校し、外での運動ができない。保育園、幼稚園はお散歩もできない。土の感触、水の感触を知らないままで育つのか。、学校は除染されたが、道路や側溝はまだで心配だ。父親だけ残って母子が移住した家族が多いが、引っ越し、避難、転校はこっそりする。みんな不安の中で過ごしている。
 ▽大貫昭子さん(南相馬市・福島県教組・原町高校) 福島県教委は原発事故で避難している9校の県立高校生を、25のサテライト校に移したが、4月から11の学校に再編した。しかし、他地域から通う子どものために、宿泊用の旅館を貸し切るが、一般客と一緒。特に男性のビジネス客が泊まる旅館を女子用の寮とするなど問題がある。4月から教科書も部屋もなく、始業式も入学式もないままの新学期。郡山から南相馬に100キロを通ってくる教師もいる。子ども達の教育を受ける権利が破壊されている。
 ▽小泉繁男さん(白河市・酪農業) 先の原子力損害賠償審査会の中間指針でも県南と会津は賠償の対象から外れたが、被害は多大だ。3月18日から1か月の原乳停止が解除になっても、今度は肉牛が出せなくなった。原乳を毎日2000リットル廃棄、従業員の中国人は帰ってしまい、継続できないので30頭余りの牛を売ったが、価格は3分の2。肉牛が出荷可能になっても半額だ。干し柿作りも山菜採りもできない。線引きは差別だ。
 ▽齋藤寛治さん(伊達市・経営者) 伊達市で「霊山子どもの村」の客を相手に食堂をしているが、放射線が高いということで客が減り収入は1割減になった。一緒に働いていた息子は解雇し、土方仕事をしているが、中国人の妻は離婚して国に帰った。伊達市では特定避難勧奨区域は税金免除、医療費無料、1か月あたり10万円が払われるが、線量が高いと報道されているのに、区域から外された私達には1円も入らなかった。許されない差別だ。まだまだ続く放射能との闘いに気も狂いそうだ。
 ▽金井直子さん(楢葉町・主婦) 20キロ圏内で事故発生で毛布2枚、水を持っていわきに避難した。2カ所を経て、いま借り上げ住宅にいる。原発3.4キロの大熊町にいた80歳の母は、12日朝、バスで連れ出された。保険証も薬もなく、1年過ぎて避難生活に苦労している。楢葉工業団地では地元の人はみんな解雇された。自宅を新築し、ローンがあるが住めない。避難者の多くは借り上げアパートに一留がすることがないのは大変な精神的苦痛だ。東電はあまりに誠意がない。しかし私たちは前に進まなければならない。
 ▽伊沢史朗さん(双葉町町議・獣医) 3.5キロのところに住んでいた。加須市に役場があるので久喜にいる。1年過ぎたが、議員の仕事以外何もなく、なぜこんな目に、と思う。建設時代から見ているが、5重の安全策といわれていた。ただ避難訓練などはなく、事故のあとはただ「逃げろ」で放射能の流れる方向に逃げてしまった。見舞金を加害者が仕分けして配っているが問題だ。双葉町に何とかして戻りたい、と決議した。
 ▽長谷川照さん(佐賀県・玄海原発訴訟原告団) 「国と九州電力会社に対して原発の再稼働を許さず廃炉を求める訴訟」に取り組んでいる。1年たって事故を深刻なものにしたのは人災だ、とみんな認識し始めている。1万人の原告を結集したい。野田内閣は原発の再稼働に向かい、住民への賠償を減らし、国策民営会社を継続させようとしている。世界に向かって、原発再稼働を認めず廃炉を実現することをメッセージにしたい。

▼内部被曝、残留放射能との闘いは原爆被爆者の闘いと共通
 全体集会は、地元首長、住民の発言のあと、「原爆被爆者の闘いをどう生かすか」と題して日本被団協の田中煕巳事務局長が報告した。
 田中さんは、「原発で放出された放射能がヒロシマの164倍だと聞き、被爆者は戸惑っている。原爆の被害は熱線、爆風、放射線の被害で、最初は専門家もよくわからなかったが、原発は残留放射能による晩発性の被害が予想されるからだ。原爆被爆者は、12年放置されその間、国は何にもしてくれなかったが、われわれは被害をぶつけ、援護政策を進めさせた。国は依然として国家補償を拒んでいるが、67年たっても残留放射能の苦しみは続いている。『被害はない』という学者の発言は間違いだ。記録を取って、被曝手帳を出して、年1,2回の定期健康診断をさせ、罹災証明の発行をするべきだ。われわれはそうしたことを福島県にも申し入れした」と話した。
 田中さんは「日本被団協は、こてまで核兵器廃絶を優先課題とし、原子力平和利用については見直し要求にとどまっていたが、この事故で人類は未だ核分裂を制御し、核エネルギーを利用する技術も知識も人間関係もないことが明らかになった。被団協は政府と電力会社関係機構にすべての原子炉の廃炉と再稼働に反対することを要請した」とのべ、「日本政府は米政府と一緒になって、原爆の放射性降下物の被害調査はほとんどせず、原爆の放射線被害を小さく見せかけた。ICRPの基準は初期放射線障害から得られたもので、防護のための基準だ。原爆症認定集団訴訟は原爆症の影響とともに放射性降下物による内部被曝、外部被曝の放射線起因性をめぐって国と争い連勝した。福島の被害者にとっても、関東一円の被害者にとっても、放射性降下物による健康被害を明らかにすることが緊急に求められている」と結んだ。
 1日目の全体集会の最後に、清水修二・現地実行委員長(福島大学)が、「福島の再生を目指して」と題して講演した。清水さんは、「いままでの報告を聞いて、原発事故が憲法を蹂躙していることを痛感した」と述べ、「生存権や勤労の権利、学ぶ権利が破壊され、幸福追求権が侵されている。平和に暮らす権利は福島だけでなく多くの場で著しく阻害されているし、単純に家族とともに希望を持って生きていくこと差別されずに生きることができなくなっている。いま、県外に出ている人は6万人に上っているが、希望を持ちにくくし、バラバラにされてしまっている」と指摘した。
 さらに、「井戸川町長が自治体が誘致した責任についてお詫びする、と述べた。この言葉を聞きたかった。いま大切なのは、福島で何が失われたかであり、これは青森にも新潟にも伝えきれていない」と強調、@地域と自治体のどうなるか。ふるさとに住み続ける権利は否定されるべきではない。国は生活支援をするべきだA賠償については、これまでのような差額賠償の視点ではなく、規範的賠償論の立場に立つべきだB福島事故の「風化」は急速に進みかねない。これを真の教訓にするのは国民自身の課題だ−などと話した。
この集会の一つの特徴は、集会の中で、「青年・学生交流会」が行われたこと。東京からバスで参加した青年を含めて、多数の学生、青年が参加。1日目の終わりに、日大の野木恵さんが報告と呼びかけをした。
 1日目の全体集会はこれで終了、夜には、宿舎になった飯坂温泉の「飯坂ホテル聚楽」で懇親会が開かれ、参加者が交流した。
          
▼6つの分科会で討論
 2日目の8日は、朝9時半から6つの分科会に分かれて討論した。
◆第1分科会は、「放射能の影響とどう向き合うか」。司会は反核法協の内藤雅義さん。福島のいまの報告、放射能についての基本的な学習をし、「放射能の影響とそのリスクの考え方」(齋藤紀医師)「放射能の影響−低線量被曝・内部被爆について科学的検証のための知見−」(澤田研二・名古屋大名誉教授)「食品の影響について考える−内部被曝の観点を交えて」(池上幸江・大妻女子大名誉教授」「チェルノブイリ調査を踏まえ、福島の被曝対策を考える−福島の未来を見据えて」(清水修二・福島大)が報告、「放射能の影響とどう向かい合うか」をテーマに意見交換した。
◆第2分科会では、「傷つき、破壊されたコミュニティの回復のために」と題し、山下祐介・首都大学東京教授、社会心理学の伊藤哲司・茨城大教授、経済学の除本理史大阪市大教授が報告、「原発事故による地域コミュニティの侵害を基点とする多様な社会問題の実態とその回復に必要なことは何か」を討論した。司会は青法協の鳥海準弁護士。コミュニティの概念や、歴史的な問題のほか、固有の価値があることなどが検討され、津波被害のタイ・プーケットの受け止め方なども報告された。
◆第3分科会は「被災者救済のための『完全被害回復』『完全賠償』を」と題して、公害弁連の馬奈木厳太郎、阿部哲二弁護士の司会で、被害実態、弁護団と被災者の取り組みの報告のあと、責任論、損害論など被害回復と賠償のための法的論点について論議。弁護団からは、「生業を返せ、地域を返せ!」福島被害弁護団、福島原発被害弁護団などが参加、事故は「共同不法行為」としての観点で、淡路剛久(早大)、吉村良一(立命館大)、片岡直樹(東経大)の各教授らがトークショー。法廷闘争、政策形成、政策要求を議論した。
◆第4分科会は、「脱原発の司法判断を求めて」.脱原発弁護団連絡会議の河合裕之弁護士の司会で、@全国連絡会議の意義と役割、A各地の差し止め訴訟の現状と課題、B原告団、弁護団の運営の悩みと工夫、C国民世論住民の支持獲得と地元との連携−を論点に討論。全国の訴訟団から「3.11」以後、裁判の様相が変わってきたことが報告され、広範な運動を進める中での裁判闘争の経験が報告され、その重要性が確認された。
◆第5分科会では、「原水爆被爆者の運動に学ぶ−広島・長崎から福島へ−」がテーマDVD「人間を返せ−原爆症認定集団訴訟の記録−」を観たあと、大久保賢一・反核法協事務局長が分科会開催の問題意識を提起、宮原哲朗・原爆症認定集団訴訟全国弁護団事務局長が「原爆症認定集団訴訟の意義とと到達点」、田中煕巳・日本被団協事務局長が「被爆者運動の中での集団訴訟の位置づけ」、第五福竜丸被爆者の大石又七さんが、「ビキニ被爆者がどう処遇されてきたか」の経験、山田寿則・明大教授が「日本政府の核政策の内容とその形成過程」、被爆者で医師の肥田舜太郎さんが「今、広島の被爆医師が福島に伝えたいこと」と題して報告した。司会は反核法協の田部知江子弁護士。
◆第6分科会では、「原発報道を考える」と題し、原発事故後の報道の問題点を話し合った。東電の記者会見に出席し続けたNPJ編集長の日隅一雄弁護士がその経験から「東電の隠蔽体質とそれを許す既成メディアの問題点」、科学ジャーナリストの塩谷喜雄・元日経新聞論説委員、小出五郎・元NHK解説委員が、事故後の新聞報道とテレビの報道について報告。小出氏は「報道は『発表ジャーナリズム』から『調査ジャーナリズム』を中心にしたものに変わらなければならない」と提起した。午後はこの3人に、日隅弁護士とともに記者会見に出席したフリーライターの木野龍逸さんも加わって討論。フロアの市民からの発言も活発。司会は吉原功・日本ジャーナリスト会議代表委員(明治学院大名誉教授)。

分科会は午後3時に終了、3時10分からまとめの全体集会を開催。分科会の報告が行われたあと、実行委員会副委員長の小野寺利孝弁護士(日民協)が「初日は420人超、2日目に新たに登録した参加者だけで約70人、結局500人を超す参加者が集まった。被害者の訴えを受けとめた議論は、実践的な理論が語られ、展望も開かれた。しかし闘いは40年にわたる運動になる。参加者だけのものにしないために、記録をできるだけ早く刊行したいし、DVDも作りたい。個人的にはこれを第1回の集会として、2年に1度くらい、引き続いて息長く運動を続けたい」とまとめの報告をし、アピールが田部知江子弁護士によって読み上げられ、採択された。
また、この全体集会と並行して、青年学生交流会が開かれ、61人が参加した。参加者からは「楽しかった」「今後継続的に交流出来る場があればいい」等の感想が出された、と報告されている。
 集会は各実行委員会参加団体の分担金で賄われたため、会場でカンパが訴えられたが、2日間で、19万7437円のカンパが集まった。
           (丸山重威)

「原発と人権」全国研究・交流集会in福島からのアピ−ル

1,2011年3月11日の東日本大震災に引き続いて起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故は、これまで私たちが経験をしたことのない質の、多様かつ広範にわたる、膨大な被害をもたらしました。
 ふるさとの山や河川や海や生活の場を、目に見えぬ放射能で汚染し、人々の生活基盤を奪い、財産を奪い、子どもの遊びの場を奪い、生徒の学習の場を破壊し、家族の別居を余儀なくさせるなど様々なレベルのコミュニティを破壊し、人々の健康を損ない、大きな不安を与えています。こうした被害が今なお継続していて、解決の見通しすら立っていません。
  まさに、私たちがはじめて経験する、未曾有の被害です。

2,私たちは、こうした事態に、一体どの様に対応して行ったらよいのでしょうか。
 まず、この被害の実態とその内容をより正確に把握し、理解して、広く国民に、世界の人々に共通の認識として拡げることが何よりも必要です。
 この過酷な被害をもたらした人災を2度とくり返されることが無いような社会を創っていくことは、この事故を経験した私たちの責任でもあります。
 そのためには、事故の原因を徹底的に明らかにすると共に、こうした被害をもたらすこととなった背景も含め、加害者である東電と、原発推進政策を国策として強行してきた国の法的責任、そして政治的・社会的責任を明らかにすることが不可欠です。
 そうした原因と責任を明確にすることの上に立って、被害の回復(破壊されたコミュニティーの回復と奪われた「生業、学び、文化、遊び、そして家族・家庭と生活」の回復等々)、および、損害の完全な賠償(被害者が奪われ、傷つけられた人権・人間の尊厳の全面的な回復を求める立場からの東電と国に対する損害賠償要求)、そして、こうしたことを実現するための具体的政策を提起し、国と自治体にそうした施策を実行させていくことが必要です。
 これら被害の可能な限りの回復と完全賠償の課題は、まさに、日本国憲法が、幸福追求権(13条)、平和的生存権(前文、25条)、居住権(22条、25条)、教育を受ける権利(26条)、労働権(27条)、財産権(29条)等により、基本的人権として保障する内容であり、国は、そして自治体も、その実現する責務を負い、最大限の努力を尽くさなければならないはずのことでもあります。
 さらに、原発を再稼働させることなく、原発に依存しない社会を創っていくことが必要です。例えば、新潟の原発をどうするかは、新潟の人々の問題でもありますが、その原発による電力を利用する首都圏の電力消費者の問題でもあります。そのことを私たち国民皆が銘記しなければならないと思います。

3,このような、被害の実態と本質をより正確に把握すること、事故の原因と責任を解明すること、被害回復と完全賠償の方向性を明らかにすること、そうしたことをより広く社会に伝え、実現していくためには、被害者の皆さん、自然科学者、社会科学者、法律家、ジャーナリスト等、そしてこうした活動を支える広範な市民の皆さんの、分野を超えた幅広い協力と連帯が不可欠です。

4,現在、野田民主党政権は、福島原発事故の原因も明らかにならず、さらなる大地震の危険が指摘されている状況の下で、多い原発をはじめとして停止中の原発の再稼働を強引に推し進めようとしています。
  私たちは、本日、原発事故から1年を迎えた機会に、ここ福島で「『原発と人権』全国研究・交流集会」を開催し、多くの成果をうることが出来ました。私たちは、この成果にふまえ、今後更に、福島原発被害者の被害の回復と権利救済、原発再稼働を許さず、原発被害の再発を許さないための活動に取り組む決意を新たにすると共に、更に広範な分野の、多くの市民の皆さんが、こうした取り組みに共同して頂くよう、心から訴えるものです。
 2012年4月8日
                    「原発と人権」全国研究・交流集会

「原発と人権」全国研究・交流集会 in福島

2012年4月7日(土)/8日(日)
会場:福島大学
参加費:1,000円

集会案内チラシ(PDF)

福島原発事故発生から1年。未曾有の原発被害の事実を可能な限り明らかにし、過酷な被害をもたらした自然科学・社会科学的原因を究明し、加害者である国と東電の法的・政治的・社会的責任を問うとともに、傷つけられ奪われた被害者の人権と尊厳、破壊された生活と地域社会(コミュニティ)の全面的な回復・確立を実現させ、脱原発社会の創設を求める多様な活動を発展させるため、被害者・市民・法律家・科学者・ジャーナリストが一堂に会して、経験と研究を交流する全国集会です。
みなさんの参加をお待ちしています。


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