日民協事務局通信KAZE 2010年5月

 鳩山さん、なさけない評価のままでいいのですか


 これが、紙面となるころは、普天間基地の移設問題は、鳩山首相は自ら決めた期限を目前に、騒然としているところであろう。日本各地で、つぎつぎと候補地があげられ、次々と反対集会が行われる。これほどまでに拒否されている一基地をなぜ民主党政権は、日本から引取り願いたいと言えないのだろうか(米軍基地すべてといっているのではない)。
 政権発足当初は、費用負担まで言及して、海外への完全なお引取りも首相の考えのなかに、あったような感じであったが、私の錯覚だったのだろうか。
 内閣支持率も、一貫して低下してきており、政府幹部をして、衆参同時選挙も想定していると言わざるを得ない状況だ。後がない首相なのだから、すべての国民に対する問題提起として、「無条件の普天間基地全面撤去を米国に申し入れる」と言えないのだろうか。
 かつて細川政権が深夜の記者会見で国民に対し突然、福祉目的税を打ち上げたように。今度はいい突然発言で。感覚の麻痺したマスコミには評価されなくとも、首相の名は、後世には、高く評価される日がくるはずだ。このままだと「毎月何千万円の子供手当てをもらっていた首相」などというなさけない評価まま終わってしまう。いいのですか、鳩山首相。
 日本国民も、そのボールを受け止め、自身の問題として考える。核安全保障サミットの直後、ワシントン・ポストなど米紙は、「ユキオ、あなたは同盟国(の首相)だということをお忘れか。(日本は、米国の)高価な核の傘のおかげで、途方もない額を節約しているではないか、それでもトヨタを買えというのか」など優柔不断な首相を罵倒したが、これはある意味、日本の国民一人一人に突きつけられたものだ。「高価な核の傘は、我々の安全のためか?」「思いやり予算を負担していたのではなくて、途方もない額を節約していたのか?」「トヨタ車を売るための代償的同盟だったのか?」国民の間でこそ激論を行なうべき。鳩山さんはその問題提起をすべき。
 知人との会話に普天間基地の問題をだしてみる。「無条件に国外に行くのが当然」という意見もあれば、「日米同盟で、日本の安全が守られている」「国外移設など押し通せば、日本の企業は、米国から排斥される」などさまざまな意見がある。そして「(身近にはごめんだが)しかたがない」とうい考えも聞かれる。徳之島が候補地ならば、お台場あたりには、まだ広い土地もあり、当然候補地だ。北の丸公園だってそうなる。基地を身近に置いてもいいという人はいないだろう。現実から逃避しても、解決にならない。
 一基地の無条件撤去を実際やってみて、どんな展開になるか。その先に進む機は客観的に熟している。「1Q84」もいいけど、国民は自ら現実的ストーリーに向き合うときだ。

(税理士 奥津年弘)


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