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 中央選管申入書  
2003年10月23日

中央選挙管理会 御中
平成15年10月23日
(〒160-0004)
東京都新宿区四谷1−2伊藤ビル3階
TEL03-5367-5430 Fax03-5367-5431
日本民主法律家協会内
司法の独立と民主主義を守る国民連絡会議

要望の趣旨

1、第19回最高裁判所裁判官国民審査の意義について有権者(審査人)の理解を深めるために              
(1) 公報、新聞広告、テレビコマーシャルなど各種媒体を用いて、国民審査の意義に関する啓蒙宣伝を更に強めて頂きたいこと。
(2) 最高裁判所が開設しているホームページを審査公報等に掲載し、審査人がアクセスできる便宜を図って頂きたいこと。
2、投票の適正を確保するために
(1) 投票当日、投票用紙交付場所及び投票記載場所、その他投票所の見易い場所に、何人にも理解できる表現で、従来からの[1]の表示に加え、次の[2]、[3]、を明記した掲示をするよう指導して頂きたいこと。
[1] やめさせた方がよい(不信任)と思う裁判官には×を、やめさせなくてよい(信任)と思う裁判官には何も書かないで下さい。
[2] ×以外の記載、たとえば、○や△を記載したり、投票用紙全体に×とか○を記載したりしますと、全てが無効になります。
[3] 投票したくない人、あるいは信任、不信任のいずれにすべきか迷っている人は、投票用紙を受け取らないか、また、いったん受け取った後でも、係員に返すことができます。

(2) 審査公報及び投票入場券に、前号に記載する事項を刷り込み、投票の適正を確保して頂きたいこと。
(3) 投票所における係員、立合人等において、投票当日、審査人に対し、棄権の自由を認めず、事実上の投票強制にわたる言動のないよう予め指導して頂きたいこと。

要望の経緯

1、私たち国民連絡会議は、昭和46年9月、「司法の危機」といわれた時期に、市川房枝、野村平爾、吉野源三郎、青島幸男、総評議長、社共公3党代表者らが呼びかけ、労働組合、各種大衆団体、法律家諸団体、政党などで構成される「司法の独立と民主主義を守り、憲法改悪に反対すること」を目的に創立されました。
 私たちは、最高裁判所裁判官の任命手続の民主化をはじめその時々の司法問題に対処する一方、特に最高裁裁判官国民審査を重視し、昭和47年の第9回以来毎回の国民審査において、そのつど貴会への要請を重ねるとともに、有権者に対して、国民審査の意義を訴え、護憲の府・人権の砦としての最高裁判所の姿勢を直すまたとない機会としてこれに取り組む運動を行ってまいりました。

2、しかしながら、国民審査に対する有権者の関心は異常に低く、はなはだ憂慮すべきことは、貴会におかれても痛感しておられることと思います。
 また、国民審査に関する啓蒙宣伝、わけても審査される裁判官に関する情報が極めて少ないうえに、投票方法が×印か無記載の二つに一つしかなく、信任、不信任の判断がつかない場合でも投票が事実上強制され、棄権の自由も十分確保されていない実情が見受けられます。これは、投票方法やその効力に関する啓蒙が十分なされていないことが原因のひとつと考えられます。

3、私たちは、投票方法を○×式に改める立法改正を求めながら、現行制度のもとで、審査人ができるだけ多くの情報に基づいて信任・不信任の判断ができるようにすること、その判断ができない場合を含め棄権の自由が十分保障されることによって審査の適正が確保されることを求め、もって、最高裁裁判官の任命に対する事後審査である国民審査の本来の意義が少しでも生かされることを願ってきました。

4、よって、来る11月9日実施の国民審査に先立ち、私たちは貴会に対し、要望の趣旨記載の措置をおとり下さいますよう、本要望に及ぶ次第であります。
以上


 
上記の私たち日民協および司法の独立と民主主義を守る国民連絡会議の申入書に対する総務省の通達「第19回最高裁判所裁判官国民審査の投票について」が以下になります。


第19回最高裁判所裁判官国民審査の投票について

総行管第399号
平成15年10月16日
各都道府県選挙管理委員会委員長 殿
   総務省自治行政局選学部長
※本件は、正式通知に代わるものである。

 第43回衆議院議員総選挙と同時に行われる最高裁判所裁判官の国民審査の投票については、下記のとおり取り扱うことが適当と考えられるので通知します。



1 投票所は選挙人が投票をする前に必ず投票記載所に立ち寄るように、例えば衆議院比
例代表選出麓員の選挙の投票用紙と最高裁判所裁判官国民審査の投票用紙を同時に交付し、投票記載所も同一箇所にして、衆議院比例代表選出議員の選挙の投票記載と同時に記載できるようにするなど適宜投票所の設備について工夫すること。
 また、同時に投票用紙を交付する場合において、投票箱を三個以上設置した投票所では、衆議院議員総選挙の二つの投棄箱にはそれぞれ「衆議院小選挙区選出誰員選挙投票箱」、「衆議院比例代表選出議員選挙投票箱」と、他の投票箱には「最高裁判所裁判官国民審査投票箱」と表示し、選挙人が選挙の投票と審査の投票を区別して投函できるようにすることが適当であること。

2 国民審査の投票については、投票の強制にわたらないよう運用を図るべきであるとの
要望もあるので投票所内の適当な箇所に選挙人の見やすい大きさで別紙のような趣旨のことを掲示することが適当であること。
 なお、適当な箇所としては、投票用紙の交付の場所、投票を記載する場所等選挙人が容易に見ることのできる場所を選ぶこと。

 
(別紙)

最高裁判所裁判官国民審査投票上の注意について

  1. 国民審査の投票用紙には
  2. (1)やめさせた方がよいと思う裁判官については、その氏名の上の欄に×を書いてください。
    (2)やめさせなくてよいと思う裁判官については、何も書かないでください。
  3. 投票したくない人は、投票用紙を受け取らないでください。
  4. 投票用紙を受け取った後でも、投票したくない人は、投票箱には入れずに係員に返してください。
    なお、投票用紙を持ち帰ることは法令に違反しますので、絶対に持ち帰らないでください。


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