JDLAトップへトップへ日本民主法律家協会 第53回定時総会特別決議

集団的自衛権行使容認の閣議決定に抗議し、その撤回を求める

安倍晋三内閣は、7月1日、多くの国民の反対の声を押し切って、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定を強行しました。これは、「集団的自衛権行使は憲法違反」という60年以上にわたって積み重ねられてきた政府解釈を、一内閣の判断で覆してしまうという暴挙以外の何ものでもありません。

閣議決定は、公明党との協議をふまえ武力行使には重要な限定が加えられたと言われていますが、実際には、日本に対する攻撃がなされなくても、他国に対する武力行使が発生した時点で武力行使を行うという集団的自衛権の核心が容認されている点は明らかです。「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」にのみ、といっても、このような「場合」にあたるか否かを判断するのは時の政府であり、また、どのような条件をつけても、日本が攻撃されていないのに他国の戦争に追随して武力行使に踏み切るという点は何ら変わっていないからです。

また、公明党に配慮して閣議決定ではいわゆる集団安全保障措置への武力行使を含めた参加についてはふれられていませんが、国連決議にもとづく軍事行動も、「憲法9条の下で許容される自衛の措置」の条件を満たせば可能であることは否定されていません。

加えて米軍などとの軍事協力の強化は、閣議決定の中で、「我が国の防衛に資する活動に現に従事する米軍部隊」に対する攻撃の際の、自衛隊による「武器等防護」名目の武器使用や、国連安保理決議に基づく他国の軍隊の武力行使への自衛隊の支援という形で画策されています。

以上の点をふまえれば、今回の閣議決定は、海外で武力行使はしないという従来の自衛隊からの決定的変貌であり、「戦争をしない、そのために軍隊をもたない」と定め、徹底した平和外交の推進を政府に求めている憲法9条を破壊するものにほかなりません。

私たち日本民主法律家協会は、こうした憲法9条とそれに基づく戦後の平和・安全保障政策の完全なる破壊を意味する今回の閣議決定に対して、断固として抗議するとともに、その速やかな撤回を強く求めるものです。

さらに、政府は、この閣議決定を踏まえて、自衛隊法、周辺事態法、武力攻撃事態法、PKO協力法などの法律「改正」による国内法の整備を画策しています。これは、私たちのたたかいが、まだ「序盤」であることを意味しています。私たちは、こうした法整備のたくらみに対しても断固として反対の声をあげて、これを阻止する決意であることを、ここに表明するものです。

2014年7月5日

日本民主法律家協会第53回定時総会 特別決議



©日本民主法律家協会