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 3・11院内意見交換会の報告とお願い

「イラク攻撃を考える院内意見交換会」では次のことが話し合われました。

1 松井芳郎教授(名古屋大学・国際法)
 国連憲章は、「戦争」に限らず、武力行使一般について、武力行使禁止原則を確立し、集団安全保障を強化した。したがって現代国際法では、例外として、自衛権の行使の場合と国連による集団的措置の場合にのみ武力行使を認めるにすぎない。要するに、19世紀までは@戦争原因は何でも良い(目的の自由)、A戦争決定を自由にできる(手続の自由)とされていたのに対して、現代国際法は、@にもAにも規制を付けている。
 イラク問題に対するアメリカの主張は、@査察の違反がなぜ平和への脅威になるのか、Aそれへの対処がなぜ武力行使になるのか、Bその場合でもなぜ憲章1条1項に掲げる「集団的措置」ではないのかについて、まったく言及がなく、きわめてラフな論理である。もしアメリカの武力行使を容認すれば、憲章で認める場合以外にも一定の武力行使を合法化することになり、一定の価値を武力によって押し付けることを許し、粗野な二分法によって敵味方を区別し、「敵」は人間にあらずと決めつけることになる。これは、歴史を国際連盟ないし不戦条約より前の「弱肉強食の時代」に逆行させることになる。
2 川崎哲氏(「週刊イラQ」編集・発行人)
 イラクへの査察は、安保理決議1284(1999.12.17)に基づき、さらに安保理決議1441(2002.11.8)で強化されたもの。いずれも武力行使を容認してない。査察の手続は、査察開始(2002.11.27)から「60日目」に報告し、「作業計画」の安保理承認を経て、「継続した監視と検証が完全に機能した」ときから120日後に安保理報告という手順。1月27日報告はその「60日目」報告にあたり、これ以後は、安保理決議1284に従って、作業計画の策定と承認が予定され、120日間の監視と査察にイラクが完全に協力すれば、イラクに対する経済封鎖を解除することになる。したがって、少なくとも本年7月まで査察を継続することは、安保理の本来の決議に最も忠実な方法であり、新たな決議はまったく不要である。仏独ロの2月24日のメモランダムは、この当然のことを指摘した。

 そこで、国民の代表である議員にお願いがあります。
  1. 私たちは、憲法上の権利として、国会の各議院に「アメリカのイラクに対する武力行使に反対する決議をあげる」よう請願しますので、紹介議員となって下さい。
  2. イラクに対する武力行使の是非は国政の基本にかかわる問題です。議員一人ひとりが良識と良心に基づいて判断して、早急に議院の決議をあげて下さい。

2003年3月25日
 3・11院内意見交換会呼びかけ人
 連絡先 澤藤統一郎(日本民主法律家協会)電話5367-5430 ファクス5367-5431




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