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「自衛隊のイラク派遣に反対する法律家アピール」運動の報告  
2004年2月13日

自由法曹団
青年法律家協会弁護士学者合同部会
社会文化法律センター
日本反核法律家協会
日本民主法律家協会
日本国際法律家協会
  1.  法律家6団体が全国の弁護士と法学研究者に呼びかけた標記運動は、 2週間余の短期間で、しかも弁護士会選挙期間中であったが、 弁護士1558名、法学研究者等64名の合計1622名が賛同し、100万円を超える募金が寄せられた。
     2月6日、6団体の代表はアピール文と賛同者リストを政府へ提出して 米英軍の不法な占領支配に参加する自衛隊の派遣に強く抗議するとともに、 記者会見を開き、自衛隊の派遣中止と即時撤退を求める声を全国から出していこうとのアピールを発表した。 当日の行動は次のとおりである。

  2.  午前10時、佐々木秀典議員(民主党)秘書の案内で、 鳥生忠佑日民協理事長、新倉修国法協事務局長、米倉勉青法協弁学合同部会議長、島田修一自由法曹団幹事長の4名は外務省、 次いで内閣府に赴き、最後の防衛庁には山本真一国法協事務局次長が加わった。  外務省安全保障政策課主席事務官は、「自衛隊は小学校の修復に行き治安維持活動は行わない」 「自衛隊は独自の活動を行うから情報交換はするが米軍(CPA)の指揮は受けない」と政府見解を繰り返すだけ。 イラクには誰の承認を得て自衛隊は入国したのかとの質問に対し、 CPAであると答弁。日本政府はフセイン政権を承認していたから、 フセイン大統領の承認を得ないとイラクに入国できないのではないかと質問。 これに対して、もはや実効支配していないから承認は求めないと答弁。 フセイン政権を倒したのは国際法に違反した米英軍であり、 そのような違法行為によって生じた違法状態を承知するのは違法占領に関与するものである。
     内閣府では、宮崎県の女子高生が1人で5000筆を超える署名を集めて提出した 「自衛隊派遣は慎重対応を」の請願を読まないまま、「国際政治が複雑であることを学校で教えるべきだ」 と語って国民の声を無視した小泉首相の姿勢に強く抗議し(応対した官房総務専門官は女子高生請願も受理)、 アピール文を首相の前で読み上げて伝えるよう要求。 専門官は総理秘書官室と官房長官秘書官に届けることを約束。 高校生の意見を記した文書を読みもしないで批判する首相は、 意見表明権を保障した子どもの権利条約を踏みにじるものであり、 高校生が政府に反対する意見をもつことについて教育の内容にわたって不法介入するもの。 大宰府からの梅娘らとは直接会いながら、高校生に直接会うことを避ける態度は大いに問題だ。
     霞ヶ関から前日のキャンドルパレードで1万人が押し寄せた防衛庁に回り、防衛政策課長補佐ら4名と交渉。 外務省と同じく「復興支援はCPA指揮下ではなくCPAの同意を得ての活動」 「安全確保支援活動は米英軍の後方支援だからCPAの一翼ではない」 「正規軍(政府もしくは政府に準じる組織)の攻撃か否かはその場で判断」 「隊員に犠牲が出た場合どうするかは情況を見て判断」 「隊員は3ケ月で交替する」「沖縄海兵隊のイラク派兵は米軍から通告を受けただけ」等々の釈明。 日米新ガイドラインによる情報・諜報の交換があるはずで、 その点での情報収集はどうなっているかとの質問に対し、 イラク問題は日米安保条約とは無関係であり、新ガイドラインとは関係ないと答弁。 そこで、米軍がイラク攻撃を想定して沖縄で訓練をしていることを知っているかと質問したところ、 どのような訓練をするかは米軍の問題であり、承知していないと答弁。 さらに、米軍が沖縄に駐留するのは日米安保条約に基づくものであって、 イラク攻撃は日米安保と無関係というのであれば、 安保条約に違反する行動を黙認するのは問題だと追及したところ、 これに対する答弁はなかった。
     CPAはイラク全土を実効支配しているのであるから、 その指揮下に入らない自衛隊の独自行動などありえないことは明らかである。 それなのに、「自衛隊は占領軍の一員」との現地司令官の発言は知らない、 自衛隊は占領支配の一翼を占めるものではない、 後方支援は武力行使でない、テロは正規軍でないから反撃は武力行使にあたらないという彼らの「論理」は、 平和憲法の縛りと派兵反対の広範な運動に包囲された中で、 武装した自衛隊を戦後初めて戦場に送り出すための嘘と誤魔化しと詭弁にすぎない。 代表団の40分に及ぶ追及に防衛官僚2名が見送りもしないで先に席を立ったのも、 自衛隊派兵に正当性がないことを彼ら自身がよく知っているからにほかならない。

  3.  申入後、午後から日民協会議室で記者会見を開いた (鳥生、新倉、島田のほか澤藤統一郎日民協事務局長、鈴木敦士青法協弁学合同部会事務局次長が参加)。 出席は赤旗と連合通信の2社。 反戦運動を国民に伝えないことが、この国を戦争への道に推し進める巨大メディアの役割か。 途中で諦めたら負ける、息切れしない反対運動を呼びかけ、当日の行動を終えた(翌日の赤旗で報道)。
以上

記者会見

記者会見する(左から)新倉修・日本国際法律家協会事務局長、
鈴木敦士・青年法律家協会弁護士学者合同部会事務局次長
鳥生忠佑・日本民主法律家協会理事長
島田修一・自由法曹団幹事長



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