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衆議院憲法審査会規程の強行採決に強く抗議する

2009年6月12日
日本民主法律家協会・第4回全国理事会
 自民・公明両党は、6月11日、衆議院本会議において、野党の反対を押し切って憲法審査会規程を強行採決した。これは、日本の軍事大国化を更に飛躍的に推し進めるために、日本国憲法、特に前文および9条の改悪をはかろうとするものであって、日本民主法律家協会は、自民・公明両党のこの強行採決に強く抗議する。

 2007年5月、両党は、安倍内閣の下、野党と世論の強い反対にもかかわらず、国民投票法(改憲手続法)を強行可決した。しかし、同年7月の参議院選挙での歴史的惨敗と国民世論の大きな反発によって、2010年の施行までに検討するとされた諸点(選挙参加年齢を18才とする等)や参議院の付帯決議に記された諸点(国民投票の対象・範囲等)の整備・検討はおろか憲法審査会規程すら制定してこれず、明文改憲の動きは一時頓挫してきたのである。

 しかし、この間、政府・与党は軍拡路線の既成事実を積み上げ、解釈改憲を推し進めようとしてきた。すなわち、米国との間でいわゆるグアム協定を調印しこれを国会で承認するなど、米軍の世界戦略体制の再編を支援するとともにその再編を補完するために、自衛隊の組み入れを進めてきた。「海賊対処」を口実に法的根拠も曖昧なままに自衛隊をソマリアに派遣してしまい、更に、自衛隊をいつでも、世界のどこにでも派遣できる恒久派兵法「海賊対処法」も衆議院で強行可決をし、今国会での成立を目指している。

 こうした中での今回の衆議院における憲法審査会規程の強行採決は、一方で解釈改憲の既成事実を積み上げつつ、他方で明文改憲への作業も再度軌道に乗せるようとするものであり、解釈改憲の限界を突破して、憲法上「自衛軍」を明記し、「国の交戦権」、「集団自衛権」を是認し、より公然と軍事大国路線を進めようとするものである。それはまさに、9条と前文に示された平和条項の破壊の道程である。

 日本民主法律家協会は、結成以来40年、一貫して憲法を擁護し、平和と民主主義と人権を追求する運動にたずさわってきた法律家団体として、このような憲法審査会規程の強行採決に強く抗議すると共に、今後とも憲法の改悪阻止と憲法の活用を追求する運動に力を尽くす決意であることを声明する。
  



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