日民協事務局通信KAZE 2003年8・9月

 「どこまで来ているのか?」司研集会へのご参加を

(全司法労組元委員長 有村一巳)

 日本民主法律家協会の司法制度研究集会(略して日民協・司研集会)が近づいた。十一月二九日。研究集会は三六回をかぞえる。
 第一回司研集会が開かれたのは、一九六八年一〇月、湯河原であった。
 六四年に出された臨時司法制度調査会意見書は、法曹一元制度の導入を期待されながら条件が整っていないとしてこれを一蹴し、官僚司法制度の強化策を打ち出した。
 日民協は「臨司意見書が司法反動の体系的文書であることが明らかになった。司法制度と裁判を統一的にとらえ、これに統一的に対処することが必要だ」として、司研集会の開催を決めたのである。このとき基調報告のうち制度研究については日民協、青法協、全司法が、裁判研究については自由法曹
団と総評弁護団が行なった。実情報告は仙台、名古屋、大阪、鹿児島などから行われた。
 以降、司研集会は日民協の最も重要な行事の一つとされた。
法律・規則の字面でなく、裁判所の職場の実態を聞いて、学者や弁護士からは、宝の山に入ったようだとの感想が寄せられ、裁判所職員の側は、封建的な職場での戦いに対する理論的支えと、力強い共闘の仲間を得て意気があがった。
 臨時司法制度調査会と今回の司法制度改革審議会は重なる部分が多い。
 改革審議会は、今回の司法改革を、政治改革・行政改革・経済構造改革などの「最後のかなめ」と位置づけたが、これらの諸改革はアメリカへの追随、有事法制の制定、自衛隊の海外派兵、リストラの横行、生活破壊をもたらし、憲法改悪、教育基本法の見直しを視野におさめている。司法改革もこの危険な流れの中にある。
 今年七月、問題の多い「裁判迅速化法」が成立した。この基本路線にしたがって、十一の検討会から財界本位、弱者切捨ての、迅速で効率的な裁判をめざす個別法案が逐次上程されていくことになる。座視するわけにはいかない。
 検討会での論議は一応公表されているとはいえ、市民の目の届かないところで行われており、司法改革がどのような姿勢でどこまで進んでいるのかわからない。全面的な論議の中で、現在の状況を正確にとらえ、多くの国民・市民の一致できる要求に基づいて行動を起こさねばならない。
 日民協執行部会は八月に御殿場で合宿し、これらの問題について討議した。その後何回かの実行委員会で論議をつめ、「ここまできた司法改革・これからの課題」を統一テーマに、龍谷大学教授・村井敏邦氏に基調講演を、関連報告を日弁連にお願いすることにした。
 各論として、弁護士費用の敗訴者負担問題や裁判員制度、労働・行政裁判、簡裁代理権付与問題など論議するよう提案している。
 前回の反省の上に立って、集会参加者が長時間一方的に聞き役に回ることなく、意見発表できるよう時間的に配慮した。
会員・購読者・インターネットその他で関心をお持ちの労働者・市民など多くの方のご参集をお願いしたい。


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