日民協事務局通信KAZE 2003年12月

 2004年を改憲阻止運動の年に!

(事務局長 澤藤統一郎)

■今年も、間もなく暮れる。慌ただしい年の瀬に思いをめぐらせる。
 良い年ではなかった。来年も、さして良いこともなさそう。やや気が滅入る。

■二〇〇三年は、唯一超大国アメリカが「先制攻撃の権利行使」を公言してイラクを侵略した年として歴史に刻まれる。国際法は蹂躙され、国連は威信を失墜した。
 国内を見れば、ラチに明けラチに暮れた。社会的ヒステリー症状は深刻である。憲法改正阻止を訴えた政党が選挙に敗れ、大きく議席を減らした。軍事占領継続中の他国の領土に自衛隊を派兵するイラク特措法が成立し、戦地イラクに派兵が実行されようとして、年を越す。
 初めて、政権党が憲法改正草案作りを公約に掲げて、総選挙を行った年でもある。

■二〇〇四年は、イラクでの自衛隊が戦闘を余儀なくされるだろう。隊員の戦死が、ボルテージの高い論争を引きおこすことも大いにあり得る。国内世論が、拉致問題のように、一斉に「右向け右」となることだって。
 国民保護法制と国民投票法が国会闘争の焦点となり、改憲をめぐる攻防が緊迫することは目に見えている。

■と、傍観者でいるだけでは事態は変わらない。来年をどうするか。何よりも二〇〇五年一一月までに改憲草案を作るという自民党に抗して、改憲阻止の世論を作り上げなければならない。
 かつてのように、国会内に「三分の一の壁」が築かれ、大労組の組織力に頼れた時代ではない。一人ひとりの自覚的な市民を改憲阻止運動に結集する努力が必要である。法律家の分野にも大きな役割が期待される。

■今、改憲阻止で全力を挙げなくては日民協の存在意義はない。法律家の鼎の軽重が問われている。では、どうやって。
 まず、他の友誼団体に改憲阻止の運動を共にするよう発案する。そして、法曹界・学会・法律関連のあらゆる分野に、改憲阻止の運動を呼びかけよう。
 知りうる限りの平和・民主主義・人権関連の原告団・弁護団に共闘を呼びかけよう。あらゆる個別運動を糾合して、改憲阻止という大きな流れを作りだそう。
 多くの市民運動・民主団体と手を携え、国民的な運動の一翼を担おう。

■そのための、「法と民主主義」の誌面作りをしよう。多くの分野の運動に参加してもらうこと、多くの研究者・実務家・市民活動家に寄稿してもらうこと、憲法問題を多面的に連続特集として取り上げよう。
 各地のビビドな改憲反対運動を反映させよう。経験を交流する場としよう。その中で、部数も伸ばそう。
 すこしだけ、気分が乗ってきたか。状況に潰されてたまるものか。せめては、あがいてみなくては。  この気持ちで、年を越したい。


戻る

©日本民主法律家協会