日民協事務局通信KAZE 2005年10月

 改憲と歴史認識

 本号特集のとおり、「戦争被害・戦後補償を考える3事件グループ(+αα)」メンバーは、六〇回目の「終戦記念日」(光復節)をかつて日本が植民地支配した国・韓国で迎えました。
 また、この旅では日本が行った植民地支配や軍事行為等による被害を現在も受け続けている人たちの証言を多く聞くこととなりました。
 戦争ができる国にするための改憲がなされようとしている今、今回の旅は、過去の加害と現在も続く被害を認識し、それと向き合うことの重要性を改めて認識させられるものとなりました。そして、それは、仮に、改憲を必ずしも否定しない立場に立ったとしても、いやそのような立場に立つのであればなおさらのこと、大前提となるはずのものです。
 そして、同じ頃、日本国内は先の総選挙戦の真っ最中でした。ところが、小泉自民党は靖国問題等歴史認識についても、改憲問題についても全く語らず、郵政民営化一本を訴えて三〇〇近い議席を獲得しました。また、総選挙の惨敗を承けて、野党第一党党首には積極的改憲論者が就任しました。こうして、過去と向き合わない勢力によって改憲がますます押し進められようとしています。
 このような状況に、必ずしも「伝統的」護憲派とはいえない人たちも強い危機感を抱いているでしょう。このような人たちとも是非共闘しなければと思います。

 ところで、戦後六〇年「海の企画」として行われたクルーズへの参加でしたが、その活動は陸に上がった後もGPPAC JAPAN連続学習会として続けられています。この学習会については、日民協ホームページ(http://www.jdla.jp/)でも、適宜ご案内いたしますので、是非ご参加下さい。

 また、戦後六〇年「陸の企画」として、一一月一九日(土)、二〇日(日)両日にわたり、『さらば戦争!映画祭』が行われます。戦争による過去・現在の加害と被害に関わる映画を上映するほか、ゲストによるトークショーも予定しています。
 「戦争では、どんなことが実際に起きて、どんな苦しみが誰にふりかかったのか―。あの時代の被害者の傷は、癒えているのか―。そして、日本は戦後をどのように歩んできたのか。戦争が終って六〇年経った今という時代を生きる私たちは、どう向き合うべきなのか。または、もう私たちがいまさら考えても、どうにもならない話なのか。この映画祭が、足を運んで下さったみなさまにとって何かを考えるきっかけになれば幸いです」(「さらば戦争!映画祭実行委員会」)
 詳しくは、ホームページ
http://www.eigasai-60.com/
をご覧下さい。

弁護士 渕上 隆


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