日民協事務局通信KAZE 2007年5月

 忙しい人、うつに注意


 税理士にとって三月一五日期限の確定申告を終わって、ほっと一息したのもつかの間、五月は、四月一日から三月三一日という事業年度の法人が多いため、その申告期限が五月三一日となり、あまり休んでいられない。編集委員として「税理士の目」の準備も頭から抜けて休載にしてしまった。
 先日、顧問先の内科医院先生より、冬は風邪・インフルエンザなどの患者が多く「お互い忙しい時期が一致しているね」という話をうかがった。「忙しい」→「うつ病になりやすいから注意」。メンタルクリニックでなくとも、「だるい」「疲れやすい」などの症状で受診者が増えているということである。
 会員の方もみなハードな活動・仕事をされているか方が多いので、要注意。気分が暗くなるなどおかしいなと思ったらチェックシートなどで自己チェックしてみるか、むしろメンタルクリニックに行くことをお勧めするとのこと。厚生労働省のホームページでも「うつ病を知っていますか? 」向けパンフレット案)などというものもあるので参考にされたい。チェックシートの「うつ病を疑うサイン・自分が気づく変化」の筆頭が、「 @悲しい、憂うつな気分、沈んだ気分になる」だ。私もしょっちゅうなのだ。最近では、自民・公明党が、悪法を通すたびに気分が暗くなるが、これはまだ深刻ではないと自覚できる。その外、「A何事にも興味がわかず、楽しくない、B疲れやすく、元気がない(だるい)、C気力、意欲、集中力の低下を自覚する(おっくう)、D寝つきが悪くて、朝早く目がさめる、E食欲がなくなる、F人に会いたくなくなる、G夕方より朝方の方が気分、体調が悪い、H心配事が頭から離れず、考えが堂々めぐりする、I失敗や悲しみ、失望から立ち直れない、J自分を責め、自分は価値がないと感じる」など。働かされすぎ、経済的理由でうつになる人が増えている。
 ある新聞(全国商工新聞)に載っている連載には、うつ病になりにくくするには、原因を除去するか、原因の受け止め方を変えるか、なのだそうだ。前者は社会的・外部的原因に起因していることが多く、なかなか困難である。後者は、たとえば子供が不登校になっても深刻に考え込まず、「死ぬわけではない」ととりあえず解決を急がず正面対峙を避けることである。
 六月には、多くの人が住民税の増額に驚くことになる。また、上場株式配当・譲渡の税金は、給与や事業などの勤労所得より低率だ。安倍首相は、「憲法改正を参院選挙の争点にする」といっているが、そこには選挙後急ピッチで進めようとしている消費税増税かくしがある。今の税制は、格差社会の形成を推進する道具になっている。世の中全体を「 悲しい、憂うつな気分、沈んだ気分」になる社会にしないよう、参院選挙は、正面対峙して、はればれしたいものである。

(弁護士  奥津年弘)


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