ひろば 2015年12月

 I AM HOMIN


 「私」は『法民』。先日、発刊500号のお祝いをしていただきました。 私の出自は、その500号に掲載されている森英樹理事長の「日民協の「原点」と「現点」──「法と民主主義」500号に寄せて」にあますことなく披露されています。再読していだければ幸いです。

 10月31日、第46回司法制度研究集会の開催と合わせて、東京・四谷のプラザエフ地下クラルテにて、「私」の創刊500号出版を祝う集いが開催されました。
 「映像で綴る500号の歩み」を集いの日に間にあわせようと、編集委員会では手分けしてシナリオを書き、セピア色した写真を探し出し、ナレーターには、青年劇場の松永亜規子さんにお願いして、約25分にわたるスライドを完成させました。
 スライドのタイトル〈「法と民主主義」は何を訴えつづけてきたか〉と題し、「戦後の大衆運動として知られる60年安保闘争。「安保改定阻止法律家会議」の闘いを持続し、日本国憲法を守り、安保条約に反対する法律家の組織として、日民協が生まれました。」と協会の誕生から入り、砂川闘争における伊達判決を覆す最高裁判決の11日前に、「安保改定阻止法律家会議」が結成されたことに触れ、「戦争法」の強行採決に、この最高裁判決を根拠とする論理を展開した今日の政治状況につなげながら、集いの主役「私」の幼少期の名前「日本民法協」から「法と民主主義」に改題され今日までの流れが紹介されました。
 1960年代の革新自治体の誕生、公害闘争、恵庭・長沼・百里と続く、基地問題と平和的生存権のせめぎあいの記録が写しだされました。そして、60年から70年代にかけて吹き荒れた「司法反動の嵐」、最高裁が頂点となって裁判干渉から人事問題など、司法行政の官僚統制と裁判の反動化の実態を映し出しています。
 教科書裁判や諸費者問題、天皇・政教分離など、「私」の誌面に登場したさまざまな動きとともに、75年まで続いたベトナム戦争反対運動から、カンボジア・韓国・中国・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン等々、国際連帯の活動も紹介されています。
 そして後半は、99年にはじまった「司法制度改革」にふれ、今日なお、大きな矛盾をかかえつつ、「国民のための司法」をめざして、たゆみなく続けている司法の民主化運動と「私」の役割を描きだしている。エンディングは、原点としての安保闘争から、現時点の「戦争法」廃止運動のへと闘いが引き継がれ、歴史を動かす力となれるよう、「私」の誌面の豊かさとともに、この世に「平和と民主主義」が真に実現するまで、続く闘いへの決意をこめて、2015年の夏、国会をとりまいたデモと60年安保のフランスデモの映像が交差するなかで、終了しました。
 「私」は、面はゆく、しかし、すこし自慢げに、映像をながめながら、新しい峯にむかって、歩みつづける決意を心に刻んでいました。

 「集い」には、沢山の協会内外からの参加者から、「私」の役割・「私」の価値・「私」への注文がだされました。財政問題や、後継者の問題など、山積している課題をかかえつつ、「私」が、愛され、必要とされていることをヒシヒシと感じる「集い」でした。

 この「集い」のなかで、第11回目の「相磯まつ江記念「法民賞」」の授賞式がとりおこなわれました。今回は、2014年6月号に掲載された〔特集●『ブラック化』する労働法制〕の労働弁護団に所属する若手法律家による執筆陣のみなさまに「法民賞」が授賞されました。ちなみに、「特別賞」には、「私」への長年にわたる貴重な論考を提供していただくとともに、日本の平和への展望にとって不可欠な日米中関係についての知見を提示していただいた浅井基文先生に授与されました。
 選考委員会の選考過程で、安倍政権が、「戦争法」のみならず、労働法制の「ブラック化」の手法・内容・その狙いについて、労働者の現場に身を投じながら、日々向いあっている若手法律家による鋭くかつ批判的分析は、労働法制の改悪とたたかっている労働者・市民の運動に大きく貢献するものとして、「法民賞」の授賞者が決定されました。
 「私」の誌面に、「若手」が登場する度に、実は、心躍らせています。そして再会をまっているのです。600号に向けて歩き始めた「私」に、ぜひ、これからも、暖かいご支援を。
 皆さま、良いお年をお迎え下さい。

(林 敦子)


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