ひろば 2017年7月

  共謀罪・内閣支持率・新理事長・九条改憲など


 暑中お見舞い申し上げます。
 情勢があまりにあわただしくて、ついこの前のことがすぐに「古く」なってしまいそうな今日この頃です。
 国会の会期末6月18日を目前にした6月15日、法務委員会の採決を省略するという異常・違法な手続で共謀罪法案が成立してしまいました。
 法案が参議院に移ってから法務委員会の審議はたった4日。審議不十分の上、政府の説明はボロボロ、国民の反対の声はますます大きくなっており、本来廃案にならなければおかしい状況でした。
 通常であれば与党は会期を延長して採決するところ、加計学園疑惑の追及を逃れるため1日も早く国会を閉じたいとの一念で国会法56条の3の「中間報告」という奇策を使ったわけです。
 ところが加計学園疑惑と共謀罪の強引な採決で6月17?18日世論調査の内閣支持率は軒並み急落。毎日では10ポイント下げて36%(不支持率44%で支持と不支持が逆転)という結果になりました。
 そして7月2日の東京都知事選で、自民党は議席を57から23に減らす歴史的惨敗。
 7月1?2日の世論調査では、朝日も支持38%不支持42%と、支持不支持が逆転。
共謀罪法案の廃止をめざした市民団体や「共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会」の会議では、敗北感はありません。
 運動が大きく広がった結果、あのような無様な手続で採決せざるを得ない状況にまで政府与党を追い込んだと意気軒昂です。
 まもなく共謀罪の廃止を求める署名運動が始まります。国連特別報告者カナタチ氏が提起した警察を監視する第三者機関を作れという運動も始めよういう議論も出て、すでに何度も集会が開かれています。
こうした情勢の下、都知事選の6日後の7月8日?、日民協第56回定時総会が開催されました。
 総会で強調されたのは、5月3日の安倍首相の「憲法9条1項2項をそのままに、3項に自衛隊を明記する新憲法を2020年に施行する」との発言とその具体的なタイムスケジュールです。
 2020年施行ならば2019年公布。とすると2018年の通常国会で改憲を発議し、同年中に総選挙と同時に国民投票。衆参3分の2の議席があるうちにというわけです。
 2018年って来年ではないですか。
 うかうかしていると、来年の日民協定時総会は改憲発議後?!
 このぞっとする、しかし現実味あるスケジュールを頭に叩き込んで、大切な憲法9条を守らなくてはと決意を固めました。
今年の総会では、森英樹先生が理事長を退任され、新たに右崎正博先生が理事長に就任されました。
 森前理事長には、ちょうど2014年7月の閣議決定の時から戦争法成立という大変な時期に、憲法学者としてきっちりご指導をいただき、本当にお世話になりました。
 そして右崎新理事長は、総会記念講演「暴走する安倍政権の改憲策動とどう闘うか」において、安倍首相の「9条3項加憲」案の詳細な批判を展開されました。講演録は法民8・9月合併号に掲載予定です。
 「9条3項加憲」論は、憲法を素直に読む者にとっては破綻もあらわなメチャクチャな案ですが、護憲派の分断を狙い平和憲法を無にするもので、軽視できません。
 右崎新理事長とともに、これが憲法9条を破壊するものなのだということを、知恵を絞って訴えていきたいと思います。
その後、読売の世論調査では支持36%、不支持52%。時事通信では支持29.9%、不支持48.4%と、ついに「危険水域」と言われる20%台に入りました。
 「こんな人たち」としては負けられませんね。
 憲法9条の正念場です。がんばりましょう。よろしくお願いいたします。

(事務局長 米倉洋子)


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