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ひろば

第0006回 (2004/03/07)
不当解雇処分撤回に対する支援要請(山上博信)

             愛知学泉大学コミュニティ政策学部
              専任講師 山上博信
 私は、上記大学で「市民と裁判(司法制度論)」を担当する教員です。このたび、経営者である学校法人安城学園理事長(兼学園長、兼学長)寺部曉に、極めて不当な解雇処分(解雇通知書参照)を受けました。この問題は、一人では解決することが困難ですので、一人でも多くの方に支援を頂きたく、下記のとおり要請いたします。
 私は、解雇処分を全て争いますが、以下、簡単にご説明申し上げます。

第一 解雇処分の不当性について
1 解雇処分の説明(本件解雇処分は、二重構造である。)
 別添の解雇通知書に書かれている解雇理由には二重の意味があります。第一次的には、「諭旨免職」という内容であり、3月25日までに退職願を出せば、自己都合退職扱いにするが、退職願を出さなければ、懲戒免職にするという内容です。さらに、第二次的には、本件解雇通知は、理事長が「予備的」に「解雇処分」にするという内容です。つまり、万一、裁判などで学校側の解雇理由が認められないときは、大学側都合で解雇するというものです。本来、懲戒免職であれ、諭旨免職であれ、労働者が一方的に悪く、経営者が自信をもって解雇するはずなのに、本件の場合、万一懲戒処分が認められない場合を想定しているという「腰の引け方」で、そのこと自体、不当な懲戒処分であるといえます。
2 解雇理由の不明確性
 私に対して知らされている解雇理由は、解雇通知書以上の詳しい説明はありません。
懲戒解雇の理由(解雇通知書、前の一〜八)に関しては、今まで団体交渉が度々開催されましたが、根拠となる証拠は、今まで1点も示されていません。また、予備的解雇自体、解雇通知書で初めて知らされました。解雇の理由は、いずれも全くのいいがかりです。私がこのような解雇が認められると、大学だけでなくあらゆる職場で具体的な事実を示さないまま、労働者を「不適格者」扱いして解雇することができるようになります。
3 団交中に打ち切り通告もなく解雇された
 私の懲戒問題や職場でのいじめ、差別問題は、所属労組と学校法人との団体交渉(労使双方弁護士立会い)が重ねられてきましたが、交渉の打ち切り通告もなく、いきなり解雇されました。最高学府でかつ弁護士同席の交渉が行われてきたのに、一方的な解雇処分は、著しく正義に反する重大な違法行為だといわねばなりません。
4 学生が争いに巻き込まれる
 解雇理由において、大学教員として指導にあるまじき行為があったとか、ゼミ生に不適切な行為があったとされていますが、これも具体的に示されていません。対象となった学生の名前さえ明らかにされていません。学校側は、今後、学生を解雇の正当化のために利用する魂胆です。教育機関として絶対に行ってはならない行為です。

第二 懲戒解雇の裏にあるもの
1 理事長は、不当な取り扱いをしてきた
 理事長は、私に対しては、昇任差別(学部内では、私だけが助教授に昇任していない)、給与額の未確定(前職から給与額を定める、いわゆる「前歴換算」を未だに実施しない)、金銭的ないじめ(未払い研究費・実習費の未払い(2002年度53万円は、団交で全額支払うことを約束したが、支払を遅延し、本年3月1日に支払をしたし、2003年度研究費の未払い問題については、団体交渉に応じていない)。手当の未払い(2002年4月分委員手当は未だに支払がない))など数々のいじめを行ってきました。
2 学校経営に行き詰まりが見えること
 私の在籍するコミュニティ政策学部は、2006年に向けて学部統廃合の話が具体化しつつあるということです。今年度入試の志願者は、1学年あたり定員(190人)を大きく下回る見込みです。ほかの学部でも同様の結果が出る可能性があります。理事会は、経営責任を取るべきです。
3 大学運営が混乱していること
 本年1月末、愛知学泉大学では、今春の学長任期(3年)満了に伴う学長選考という名の記名投票が行われました。2月7日、開票作業が行われたにもかかわらず、理事会は結果を公表せず、学内外から批判が集中しました。理事長は、批判に耐えられず、3月1日に結果を公表しましたが、寺部曉理事長(20票)は、対立候補(40票)に大差で敗れました。3年前も2倍の格差で大敗したようですが、これは未だに開票結果が秘匿されています。理事長が、このまま学長に居座った場合、大学運営が今まで以上に混乱します。

第三 結局はリストラ解雇だ!
 結局のところ、私は、将来の学部統廃合に向け、指名解雇されたと言わざるを得ません。本件解雇事件は、リストラを正当化するための「懲戒解雇」および「予備的な解雇処分」であり、私は、法学者の存在をかけ全面的に闘う所存です。

第四 具体的支援の要請
 私は、本件解雇処分を全面的に撤回させるために、司法の場で闘うつもりですが、事実関係の確定作業に始まり、裁判は長期化する見込みです。みなさまには、具体的には、以下の支援要請を行います。
1 立場や肩書きに関係なく、広く皆様におねがいします…
この闘いは、人間の尊厳をかけた裁判になります。精神的にも金銭的にも助けて下さい。また、裁判での傍聴や広報活動に参加してください。
2 弁護士、司法書士のみなさま…
 訴訟に直接関わり、弁護、書類の作成などをお願いします。名前だけでもお貸し頂けないでしょうか?
3 大学教員、研究者、教育関係者のみなさま…
 本件解雇事件は、このまま認められますと、日本における大学教員の雇用が、将来にわたり不安定となり、経営責任すら教員の責任に転嫁されかねません。理論的にも、 この闘いを支援してください。

連絡先  山 上  博 信
自宅  470−0202 愛知県西加茂郡三好町 三好丘1−12−6−201
      ファックス 06−7500−1796
      電子メール yamagami@yamagami.com
 所属組合 名古屋管理職ユニオン
  事務所 460−0021 名古屋市中区 平和1−8−1
      電話    052−331−9001
      ファックス 052−331−9003
電子メール webmaster@union-style.com
支援カンパ 郵便振替 01150−3−71469 「山上博信君を支援する会」

         解雇通知書

 貴殿に告知した「懲戒対象事実」につき、大学調査委員会が作成した報告書に基づ
く懲戒委員会の懲戒原案を、常任理事会、理事会で慎重審議した結果、左記処分を決
定したので通知します。

           記

 貴殿の以下の行為は、勤務規程第四章 服務規律(服務事項)、(承認事項)、(
禁止事項)に違反し、第六章の懲戒等に該当する行為である。
 一、本学学生の指導に関して大学教員としてあるまじき行為を行ったこと。
 二、平成十四年十月三十日開催の学部教授会に、本学教員としてあるまじき行為を
行ったこと。
 三、許可無く兼業を行ったこと。
 四、業務指示に従わなかったこと。
 五、出頭命令に従わなかったこと。
 六、職務専念義務に違反する行為を行ったこと。
 七、上司や同僚に対し、大学人として品位を失い、不適切な言動を行ったこと。
 八、職務上の地位を利用して自己の利益を図ったこと。
 以上の行為に対する処分としては勤務規程第三十二条第七号の「懲戒解雇」が相当
であるが、本人の一定の反省を認め、また、本人の将来を考慮して勤務規程第三十二
条第六号を適用し、「諭旨退職」に処す。
 従って、三月二十五日までに退職願を提出するよう勧告する。右期限までに退職願
が提出されない場合は、三月三十一日をもって懲戒解雇となる。
 また、貴殿にはさらに次の事実が認められる。
 一、就任以来、過去五年間研究業績を全く提出しなかったこと。
 二、コミュニティ政策学部のゼミ指導に関し、ゼミ生に対して不適切な扱いをした
こと。
 三、平成十五年度コミュニティ政策学部で取り組んだオフィスアワー開設に対して
協力しなかったこと。
 四、コミュニティ政策学部で取り組んだ授業評価に対して、「研究費の査定に評価
が利用される虞れがある。このような状況下では授業評価の実施をペンディングして
いただきたい」としたこと。
 五、昇任人事において、「寺部理事長兼学長および貴職(学部長)の職務の実態に
てらし、公正な人事が行われる保障を見出せないので、今年度の昇任は希望いたしま
せん」と自ら研究業績の報告を差し控えておきながら、「昇任差別が行われた」とし
て取り上げたこと。
 六、就任時に配布した規程集は、その後二回の改定がなされたが、再三の注意にも
かかわらず、交換交付を受けなかったこと。
 七、平成十六年二月二十八日まで、平成十五年度出勤簿に全く捺印をしていないこ
と。
 八、『法と民主主義』に投稿した「懲戒請求にどう立ち向かうか?」の中で、「現
行規定の内容および労基署への届出については、学校当局が労働組合からの団交申し
入れを拒否したので、労組は地労委に対し、不当労働行為として、争議行為の届出な
らびにその解決のためのあっせんの申請をした」と事実に反する情報を流布したこと。
 以上の行為と「懲戒対象事実」に上げられた行為とを総合考慮すると、貴殿はその
職に必要な適格性を欠くと判断される。よって、勤務規程第十二条第四号を適用し、
予備的に貴殿を平成十六年三月三十一日付で、解雇処分に処する。

 平成十六年二月二十八日

             愛知県安城市小堤町四番二十五号
               学校法人安城学園 理事長 寺部 曉

愛知県西加茂郡三好町三好丘1−12−6 パレス三好ヶ丘A−201
 山 上 博 信 殿

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