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■緊急特別企画●地方選挙で止めよう! 安倍政権の暴走 ◆緊急特別企画にあたって………編集委員会 ◆名護市長選挙からみた普天間基地撤去問題………加藤 裕 ◆安倍政権の政治に代わる「もう一つの日本」を東京から──東京都知事選の全国的意義──………渡辺 治 ◆世直しは京都から──京都府知事選挙勝利へ向けて………森川 明
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■企画にあたって
二〇一三年一二月六日、 自民党、公明党は、国民の過半数を超える反対の声及び八割を超える慎重な審議を求める声を無視し、参議院で、特定秘密保護法案を強行採決しました。前日の国家安全保障特別委員会で、質疑を打ち切り採決したあげくのことです。この所業は、議会制民主主義の根本をないがしろにし、主権者である国民を冒涜する許し難い暴挙です。
多くの国民が、この法案の危険性に気づき、各方面からその疑念がよせられているさ中でのこうした暴挙に、この法律とそれを推進する勢力の本質が如実に示されています。安倍政権下での改憲諸策動とセットの一つであり、「稀代の悪法」である秘密保護法案の成立を突破口に、日本の歴史が大きく変わる様相が色濃くなっています。
特定秘密保護法案には、日弁連をはじめとする法曹界はもとより、沖縄県議会、福島県議会などの地方議会、ジャーナリズム、ノーベル賞受賞者をはじめとする科学者、学者、研究者、作家、言論界、映画界など、あらゆる国民の各層各分野から反対の声が上がり、また、国際ペンクラブ会長声明をはじめ国際人権・人道の立場からも懸念の声を寄せられています。
本号の特集は、改めてこの法律の狙いを問い、この法律の作成・審議過程から明らかになった問題点を論ずることで、この法律の廃止を求める国民共同の闘いを提唱しています。この法の廃止と、改憲策動を止める運動に役立てていただければ幸いです。
■企画にあたって
二〇一三年一〇月七日京都地裁判決によってヘイト・スピーチへの社会的関心が高まっています。
ヘイト・スピーチとは何か、いかに対処するべきか、法的対処の可能性と有効性はどうか、国際社会ではいかに対処しているかなど、調査と議論が始まっています。国会内にはヘイト・スピーチ研究会が立ち上がり、弁護士会等でも研究が始まっています。
しかし、ヘイト・スピーチの被害の実態とその本質への理解の前に、ヘイト・スピーチへの処罰に対しては、表現の自由、言論の自由という観点から、処罰ではなく、市民の自発的反撃をとおして対峙すべきという、一抹の不安の声も聞かれます。
本特集では、前田朗先生による企画構成による、「ヘイト・スピーチに関する基礎知識編」として、金尚均先生には、京都朝鮮第一初級学校に対する在特会等による襲撃事件に対する刑事事件について、楠本孝先生には、ドイツにおけるヘイト・スピーチに対する刑事規制(集団侮辱罪と民衆煽動罪)について、前田朗先生からは、差別と迫害による被害への世界的処罰の動向について、李春熙先生には、弁護士会における過去と現在の取り組みについての四本の論考を掲載させていただきました。
ヘイト・スピーチとその規制については、まだまだ議論が不十分です。本特集をきっかけに、法的な議論が深まることを期待します。読者から本特集への異論、反論をぜひお寄せください。
子どものいじめが、深刻で、痛々しい。
子どもは、小学校の高学年頃より親離れがすすんでゆき、友人や教師の影響を大きく受けるようになる。しかし、教師は子どもと接する時間を削られて、いじめの予兆を洞察して、これに全力を挙げて取り組み、子ども達や教師仲間とともにいじめを解決するには、あまりにも疲れている。教師をめぐる状況は深刻で根が深い。教師が抑圧されているのである。
教師への抑圧(いじめ)をなくし、自由とゆとりを取り戻すことが、子どものいじめ解決への取組みの基本である。
そのために必要なことを列記しよう。
1 第一次安倍政権が制定した二〇〇六年教育基本法を廃止し、旧教育基本法を復活する。
2 教育委員会の教育委員は、各都道府県及び市町村の住民の選挙によって選出する(公選制)。かつてこの公選制が一九四八年からとられていたが、一九五六年に廃止された。しかし沖縄では、アメリカ軍の統治下で沖縄返還まで公選制がとられていた。
3 教頭、主任などの管理職は廃止する。校長は、学校を代表する(管理職機能は廃止)。
4 勤勉手当の差別支給など教師に対する支配管理をなくす。
5 教師に対する人事考課は、賃金・手当と連動させてはならない。人事考課は、すべての子どもたちを成長・発達させるという教育の原点に立脚してなされなければならない。
6 職員会議を伝達・報告だけの会議ではなく、いじめを含む学校内で起きている問題について話し合う場にもどす。
7 三〇人学級を実現し、教師が子ども達と語り汗をかくことができるゆとりを確保する。
8 教師の非正規雇用を廃止する(産休・育休補助教員に限定する)。
9 一〇年ごとの教員免許更新制(その都度、教師は大学で単位を取り直す)を廃止する。
10 管理職や教育委員会へのレポート・統計などの提出業務を廃止する。
11 文部科学省の全国学力・学習状況調査を廃止する。
かつて一九六一年の文部省全国中学校一せい学力調査が、競争の激化、「テストあって教育なし」、不正などの弊害によって一九六九年に廃止されたことを想起しよう。
12 ILO・ユネスコの教員の地位勧告に凝縮している国際教育労働常識を、わが国で完全に実現する。
これらの課題は、あまりにも重く困難を伴っている。しかしせめて、「教員免許更新制の廃止」、「非正規雇用の廃止」、「管理職や教育委員会へのレポート統計などの提出業務の廃止」に絞って、教師全体の共通の統一課題としたらどうだろうか。教師がいじめられていては、子どものいじめ問題は克服できないのである。
アジア・太平洋戦争(一五年戦争)で、わが国は、日本(戦死者三一〇万人)のみならず、アジアの人たちに二〇〇〇万人の犠牲を与えた。痛恨である(二〇一三年四月に長野県下伊那郡阿智村に、国策に沿って大陸に渡った史実を正面から取り上げ、この歴史を風化させることなく、平和の尊さを発信する拠点として満蒙開拓平和記念館がつくられた)。
戦後、日本の教師は、「教え子を再び戦場に送るな」との崇高なスローガンで結集した。けれど、六八年経た今、平和な世の足元が危うくなっている。
第二次安倍政権が、強引且つ拙速で、国民世論も識者の警告も無視して強行した「特定秘密保護法」の廃止を求める国民の斗いと結合して、教師もともに、歩もうではないか。
安倍政権は、集団的自衛権の解釈による導入など憲法改悪の動きを加速させ、「総理自身の靖国参拝」など「戦争前夜」を思わせる不穏な雰囲気が漂っている。今まさに「ストップ・ザ・安倍」なのである。
©日本民主法律家協会