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焼き芋ラテン、鯛焼きモクモク

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 わが事務所は四谷の若葉町。四谷見附から新宿通りを新宿方面に、四谷1町目の横断歩道を過ぎた所に有る小路を左に折れる。

この小路の入り口左には坂本屋という平屋の和菓子屋、右にはおなじみのスーパー丸栄がある。しばらく小路を進むとあの「若葉の鯛焼き屋」があり、いつも長い列が出来ている。

 坂本屋の2軒手前四谷見附寄りの高山ビルに我が古巣の都民総合法律事務所がある。ここは私の横町、25年間出たり入ったりしてきた。

 事務所にたどり着くには一番わかりやすい道である。若葉町に引っ越して一番心配だったのは毎日若葉の鯛焼きが届くことであった。尻尾まで餡の入った若葉の鯛焼きは美味しいが1尾で満腹、毎日はとても食べられない。案内図に鯛焼き屋の記載をしたことから本気で心配した。「鯛焼きお断り」と書こうかと思ったくらいである。

 若葉の鯛焼き屋にはなんの罪もない。それはあんまりというものである。鯛焼きの美味しい季節になっても鯛焼きは全然届かない。全然である。まーいいんだけど不思議である。列が長いのでみんな怖じ気づいて買ってこないんだろう。商売繁盛。店先を通ると毎日毎日鯛焼き屋の職人さんは一列に並んでただ黙々と手を動かし続けている。

 実は鯛焼きの前にもう一つ関所がある。ラテン自動焼き芋機である。角を曲がるときどこからともなくラテンの音楽。「ヤキイモ。チャチャチャ。ヤキイモ」なんだこの音楽は。この焼き芋機は音楽入り。再生が悪いので歌詞が良くわからない。調子はラテン、歌い手はスペイン語を母国語にしている方と見た。

 どうしても歌詞が知りたくてじっと聞いたがわからない。「・・・した時。タタンタ。ヤキイモ」わからないのよこれが。不気味で面白い。レジの人に聞いても芋を補給しているおじさんに聞いてもわからない。

 90分かけて焼かれた芋は機械のうえに並べられ一本100円で売られる。100円ですよ。いつ行っても直ぐになくなっている。近くの予備校生が買い占める。

 100円の焼き芋はどれでも同じ大きさ。一成り芋と銘打ってある。どうして同じ大きさなの。もちろん美味しい。石焼きで同じ時間で焼くために同じ大きさになっている。

 またまた不思議が募る。こんな嬉しい機械を考えた人の顔が見たい。感謝と共に「食べ物自動調理機発明大賞」をあげたい。

 うまい、安い、楽しい三拍子揃った優れものである。角に来ると買わずにいられない。今日も頑張って歌い焼き、歌い焼き、みんなをうきうきさせている。

焼き芋も鯛焼きもどちらもえらい。