個別表示

ただ御茶を挽く

アップロードファイル 47KBアップロードファイル 48KBアップロードファイル 48KB

 朝から何やかやとうろうろしていていったい私の職業は何なんだろうと反省する。
 土日の雑事やお買い物成果をひととおりみんなに披露。食器に凝ると思われている私が100円ショップで小振りの曇りガラスのグラスを調達。これが100円には見えない品のよさである。手始めに4個買ってみんなに一応了解を得て追加の買い物に走る。自宅近くのダイソーで残り8個を買い占めて1ダースになったのです。土日はそれで冷蔵庫にある飲み物を端から飲んで日曜日にはビールまで行きました。値段とお気に入り度は無関係である。
 ちょっと張り込んだ黒の茶托におくとクラッシックな美しさである。肉厚なのが時代物風である。曇りガラスが飲み物を入れるとぬれてぼんやり透けてくる。ほら昔の窓ガラスぬれると外が見えるじゃない。あれなのよ。
 二階の応接スペースはシンプルモダンだったのが急にエスニック調に変身。音の反響を調整するためラグやテーブルクロスが必要になったからである。新宿3丁目の生地のディスカウント店でお買いあげ。メータ何百円の世界である。
 いい加減にしてよの節子さんは「どうでもいいからね」と「ああそうですか」の世界である。百円でも何千円でもどうぞご自由にと適当に聞き流している。仕事が忙しいのでかまっていられないのである。
 御茶を挽いてばかりいるのは私。送っていただいた大きなお茶のカンがあるので挽かなくていいのに、何かと冷蔵庫によりまくっている。美味しいなしの到来物もあるし、キハチのお菓子にゼリー、冷たい紅茶、牛乳にアイスコーヒーで濃厚なアイスオーレもある。
夕方、前の事務所のスタッフの女性が現れた。今さっき電話で話していたと思ったら「先生こんにちわ」だって。すぐそこなんだから驚くことはない。「先生事務所にちっともいらっしゃらないじゃないですか」。なんだかやることが多くて里帰りの暇がないのである。「事務所すてきですね」と言ったので彼女には冷蔵庫の中味を見せつけた上でゼリーとアイスオーレ強制的に与えた。そのお礼に元同僚の節子さんと仕事までしていってくれた。
 やさしくて有能なみんなに囲まれてしあわせな私である。