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スイカの気持ち

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 8月2日ちょと見たこともないような大きさXLのスイカが事務所に届いた。とにかく大きくて引っ越しのどさくさで気が立っている事務所のスタッフは「どうするんですか」と困惑気味。
「冷蔵庫に入れて冷やし明日から毎日みんなで食べる」「滝沢さん明日は必ずきてくださいね」と私が檄を飛ばす。滝沢さんは日民協のコンピュータをサポートしてくれている縁の下の力持ちである。うちの事務所も彼なくてはIT原始時代である。日民協で私につかまって連れてこられていると言うのが実態。「明日が楽しみで」すと言ってくれたのは律儀な彼だけである。 
 3日4日5日、3時は全部スイカ。デブで大味かと思ったらこれが美味い。歓喜の声を上げながら食いまくるがいかんせん量が半端でない。滝沢さんの奮闘の甲斐があって第1日で半分制覇。2日目は滝沢さんの奮闘空しく残りの半分は冷蔵庫へ。そして今日「先生スイカが待っています」の声。ちょっと疲れ気味のみんな。完食しました。写真は最後の最後のスイカの姿です。

 スイカの贈り主は長野県掛け湯病院でリハビリ医をしている石黒勇二先生。東京医科歯科大学の学生の時交通事故にあって私が担当した。その後突然脳にウイルスが入って脳の一部に損傷を起こしひどい脳性麻痺になってしまう。原因もわからないまま母校の病院のベットで寝たきり、ひらがなを指さしやっと私と会話する彼を見舞ったことがあった。めげない元気な患者だったが私の気持ちは晴れなかった。そこから彼は復学、整形外科医になった。並大抵の努力ではない。掛け湯病院で車いすに乗り、体が利かない言葉にも不自由するその実感を持つ医師になった。脳内出血で倒れた長野中央事務所の富森啓児先生はその彼の患者だった。とっておきの1枚の取材でそれを知った。

その彼が送ってくれたスイカを違う人達と喰らう。人はまわりまわってゆく。スイカの気持ちもうれしいにちがいない。