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予防訴訟提訴間もなく2年

赤旗を購読して久しくなるが、連載小説にはなかなか目が行かない。ずいぶん昔、早乙女勝元の「わが街角」が唯一の例外であったか。
今、森与志男という作家が「普通の人」を連載している。
テーマは、学校現場の日の丸・君が代強制。生々しい同時代史である。主人公の教員は、必ずしも活動家ではない。運動の中心にもいない「普通の人」。
本日付赤旗6面で、いよいよ予防訴訟が提起される。主人公は、活動家から電話でそのことを知らされる。が、元気のよい報告を聞かされても彼にはその訴訟の有効性に確信が持てない。混迷は深くなるばかり‥。

作者は現場の教員ではない。日本民主主義文学会の会長を務めている人とか‥。さすがに、教師群像を、それぞれの手触りの感触までよく描いている。私にも、才能あれば別の角度からそれなりのものをかける素材はあるのだが‥。

数日前に、教員間の会話の形で、予防訴訟が紹介されている。教員のひとりが、「訴訟の名称はなんというんだい?」。メモを見ながら答がある。「国歌斉唱義務不存在確認等請求事件‥」「ずいぶん長い名前だな‥」

訴訟に名称がついているとは、門外漢には思い至らないだろう。ましてや「予防訴訟」という通称とは別に、本名があろうとは。実は、この小説の通りの正式名称なのだ。請求の趣旨第一項「原告らがいずれも、卒業式入学式等の学校行事において、国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する義務のないことを確認する」から、とったもの。その命名者は私である。

弁護団には、弁護団なりの苦労がある。思い入れも、怒りも、苦悩も、迷いも‥。教員には教員の、切実な苦悩や迷いがある。多くの運動参加者から、聞いてはいるつもりだが、小説という形式での関係者の心の動きには、また新鮮なものを感じさせられる。

「10・23通達」から既に2年余。今月末には、予防訴訟提訴2周年となって、本年3月の結審を目ざす段階に至っている。この訴訟と、それを取りまく運動で多くのことを学んだ。

改憲反対という運動は、このような具体的な憲法理念実現の運動によって内実を与えられる。憲法を獲得する諸運動の集積として、改憲阻止運動がある。今年も、微力を尽くそうと思う。