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メディアも政治家もおかしいぞ 

正午から参議院議員会館で記者会見。朝日新聞に対する「ETV番組改変問題の報道総括に関する質問」についての申し入れの件。朝日には、14の市民団体が名を連ねての質問書の提出となった。私は、「報道・表現の危機を考える弁護士の会」からの参加。

もともとは、NHK問題であった。戦時性暴力を扱ったETVの番組については、まず右翼が蠢動した。慰安婦問題は皇軍の恥部である。大東亜戦争肯定論の立場からは、触れてはならないタブーである。しかも、「ヒロヒト有罪」の判決が民族派右翼にとって許し難いと映ったのだ。その動きを承けて、自民党筋の右派連中が、なかんずく安倍・中川らが同じレベルで騒ぎ出す。彼らも教科書から慰安婦問題を駆逐する歴史修正主義に血道をあげていたのだ。その結果の番組改変である。

NHKが自民党筋の圧力に弱いことが明らかとなった。制度も問題、ジャーナリズムの反骨を持ち合わせていないNHK幹部の性根も問題。これは何とかしなければ、NHKは再び大本営発表の伝声管になりさがる。私たちはそう危機感を募らせた。

朝日は、権力に対する監視機能をよく果たした。この段階では一も二もなく朝日に声援を送らねばならなかった。ところが、すこし風向きがおかしい。9月30日の朝日トップの記者会見と10月1日付の記事は、「取材の甘さを反省」という見出しで、朝日の側からこの問題に手打ちをしているように見える。

ことは重大。国民の知る権利にかかわる大問題であって、朝日一社の問題ではない。日本のジャーナリズムの今後を占う事態でもある。市民の立場において、こんな幕引きは許せない。

そう考えた市民団体が、5項目の質問書提出という形で、朝日に問題を提起した。
10月1日の朝日「反省総括」のあと、安倍・中川らは居丈高に、朝日に謝罪を求めている。いったいこれに屈するのか、毅然とした姿勢を貫くのか。
朝日自身の詳細な報道においても、安倍・中川の両名がNHKに圧力をかけたこと、NHKが権力に屈したことは明瞭ではないか…。

権力に切り込む朝日を応援し、うやむやに妥協しようという朝日を批判する趣旨である。回答は、11月18日期限で約束されている。

記者会見の席上、私の隣に座っていた醍醐聡さんが鋭く発言した。
「問題は朝日だけではない。他のメディアはどうしたのか。まるで対岸の火事を見るごとく傍観していることが解せない。朝日の取材が不十分だなどと批判するなら、どうして自らの取材でこの問題に切り込まないのか。この問題には、どのような取材競争がはばかられる事情があるのか。中には、明らかに朝日の足をひっぱつているメディアもある。ファシズム期のメディアを見ているようだ」

NHK問題から、朝日問題へ、そしてメディア全体の姿勢が問われる問題となりつつある。
そして本日、安倍晋三は内閣改造で官房長官に。こんな人物が政府の要職に? そして、次期総理だと? 常に国民はそのレベル相応の政治しか持てないのだと? 冗談ではない。徹底して、安倍・中川の責任追及をしなければならない。