本日、東京高裁で「小泉靖国参拝違憲・千葉訴訟」に判決。控訴棄却であったが、浜野惺裁判長は、判決理由で「参拝が首相の職務行為として行われたとすれば、政教分離を定めた憲法で禁止されている『宗教的活動』に当たる可能性がある」と言った。しかし、1審千葉地裁判決では認めた職務行為制を否定して、原告側の請求を斥けた。
1審判決は、小泉参拝の職務行為性を認めたが、憲法違反とは言わなかった。2審判決は、「職務行為性が認められれば憲法違反」との一般論を展開しながら、職務行為性を否定した。両方とも、違憲論にかすっている。2審の一般論と1審の職務行為性肯定論を合体すれば、違憲判断となる。惜しい、ところ。
あらためて、職務行為性認定の要件をどう建てるかが、問題となりそうだ。判例上の基準ではないが、かつて三木内閣のときに公式参拝4要件論があった。@閣議決定の存在、A肩書き記帳、B公用車の使用、C玉串料の公費負担、である。少なくとも当初は、このうちひとつでも該当あれば公的参拝だとされたもの。
千葉地裁一審判決は、A肩書き記帳とB公用車の使用の2点から、公務性を肯定した。同じ事実認定で、東京高裁はこれだけでは公的参拝と言うには足りない、とした。政教分離原則にたちかえっての公的参拝要件論を構築せねばならない。
興味深いのは、職務行為性否定の論拠として、「職務行為と受け取られることを避けるため、8月15日の参拝を断念し13日にした」と指摘していること。裁判所からのメッセージとして、こんな手があったか。
一連の小泉参拝訴訟のうち、これが高裁判決の2件目。30日に大阪高裁、来月5日には高松高裁でも控訴審判決が言い渡される。それぞれが少しずつ異なる論点を提示するものとして、注目される。