日民協事務局通信KAZE 2003年11月

 内外の法律家の連帯と事務局体制の確立を

(弁護士 鈴木敦士)

 一〇月四日法律家五団体の主催で、国際シンポジウム「東北アジア平和への展望〜朝鮮半島に再び戦火を生じさせないために〜」を開催した。その内容は、記事にあるとおりである。全く蛇足であるが、私個人の理解を述べると、アメリカの先制攻撃を許さないこと、北朝鮮の核開発を許さないこと、これを同時並行的に追求して行く必要があり、そのための市民の連帯が必要であること、また、周辺諸国がその環境を整えることが重要であるが、そのためには日本外交がアメリカとの関係を相対化し、また過去の清算をきちっと果たすことが必要だということが確認されたと理解している。結局我々には重い課題を明確に突きつけられたと言うことではないだろうか。今回の総選挙でも残念ながらこの課題を推進するのに有利な状況が生まれているとは思えない。このような状況でこそ、シンポジウムが終わってそれで一件落着とするのではなく、課題が明確になったのだから、これをスタートとしてさらなる活動を構想しなければならない。

 そういう観点から個人的感想を述べれば、法律家団体の共同行動はタイムリーに企画されそれなりの成果を上げているが、それぞれがアドホックな動きにとどまっているという問題がある。すくなくとも何らかの企画を準備する段階で、企画を終えた後しばらくおいておこなう総括会議をあらかじめ設定しておくことが必要であると思う。また、共同行動の事務体制も確立する必要があるだろう。

 市民の連帯が必要だということに関連して、今後の民弁との交流のあり方をどうしていくのかということも考えていくべきである。私は、定期交流をして、お互いに取り組んでいる様々な課題を総花的に交換していくことと、その過程で、日本側だけでなく韓国側も関心を持てる共通のテーマを見つけて、テーマごとの専門家が必要に応じて個別に交流するという、二段構えがよいのではないかと思っている。(これは、青法協弁護士学者合同部会、全国青年税理士連盟、全国青年司法書士協議会の三団体が三青会という定期交流の場を年四回もっており、各団体の活動やその業界での話題などを紹介し意見交換をしているが、大変興味深い話が多い。また、そのような意見交換の中で関心のある者が集まり個別のプロジェクトが立ち上がり、なかにはかなり独自性のあるグループを形成し動いていっているという状況と同じようなことができないだろうかと考えている。)

 韓国の弁護士からよく聞かれる質問として、日本には民主的弁護士の集団がいくつもあるのはなぜかというものがある。若輩者である私も昔の経過はよくわからない。しかしながら、たとえば、自由法曹団には自由法曹団の、青法協には青法協の作風があってまた微妙に得意分野が違っていることもあり、別々に存在するのは感覚的に理解できるのである。今度問われたときには、「いろんな団体があって面白そうでしょ」といえるように、できれば、各団体の持ち味を生かして、相乗効果を得られるような共同行動をしていきたい。共同行動をするには、やはりしっかりとした事務体制が必要である。日民協は法律家運動の統一組織として設立されたと聞いているので、ますます発展しその役目を果たし続けることを一会員として願っている。


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