日民協事務局通信KAZE 2010年12月

 今こそ共同の行動を


 一党一派にこだわっている時ではない。相手がその気になったらいっぺんにやられてしまう。ということで、私たちはすぐに動き始めた。議員定数削減問題である。私は、杉並革新懇事務局の仕事に携わっている。世話人会で討議し、杉並の諸団体、全政党に共同行動を呼びかけることにした。
 まず、「議員定数削減問題に関するよびかけ」の文書を作り、区議会のすべての政党政派に要請にいき、諸団体の事務所を訪ね、または郵送して、打合せ会議開催を提案した。第一回打合せ会議で、一一月末に講演会を開くことを決め、ただちにチラシを作り、政党政派への二回目の要請と、団体へのチラシ送付を行い、講演会への参加と協力を訴えた。呼びかけに加わったのは一四団体。二回目の打合せ会議を開いて実施要領を決めた上で、一一月二九日に「議員の数は多すぎるか──議員定数削減問題を考える──」講演会を開いた。講師は日民協の事務局次長であり、東京慈恵会医科大学教授の小沢隆一さん。この講演と質疑・討論を通じて、私たちはいろいろなことを学んだ。
 民主党マニフェストには、「小選挙区選挙を重視する観点から、衆議院の比例議席一八〇中八〇議席を削減します」「参議院の定数を四〇程度削減します」と明記されている。
 菅首相と民主党は、無駄の削減を口実に、定数削減に強い執念を示し、その機会をうかがっている。自民党も基本的に同じ立場である。
 〇九年衆院選結果で比例定数八〇削減のもとでの議席を試算すると、民主党は四二・四一%の比例得票率で、小選挙区も含め衆院議席の六八・五%を占め、二七四議席になる。同党だけで三分の二以上の議席を得る。自民党の議席占有率は比例得票率とほぼ同じ二三・五%、一方その他の政党は合計で三〇・八六%の比例得票率を得ながら、議席はわずか八%に押し込められる。
 三分の二以上の議席を占めれば、参院で法案が否決されても、民主党単独で衆院で再可決し、成立させることが可能となり、今国会のような悲惨な思いはしなくていい。
 比例定数削減の狙いは、二大政党制の実現、少数政党、少数意見の切捨て、強権政治の確立にあることが明確になった。国会議員削減の動きは、地方自治体にも直ちに影響を与えることになる。
 適正な議員定数の一番基礎になる考え方は、主権者、国民の意見が正確に反映されること、少数者であっても、自分たちの代表が議会にいて、自分たちの生活実態と意見が表明できる状況が保障されることであると思う。
 今年七月の参院選挙につき、東京高裁は「長期にわたり投票価値が不平等な状態が積み重なり、国会の裁量権の限界を超えて違憲だ」との判決をくだした。国会でも、選挙制度の改変に向けた動きが活発になりつつある。
 しかし、民主党や自民党の二大政党制を志向する勢力は、判決や世論を悪用し、小選挙区制中心の制度を一挙に実現しようとの策動を強めるに違いない。定数削減法案の国会への提案を断念させることと、全国比例を基本とする選挙制度確立に向けた運動を急がなければならない。
 私たちは、今後、職場、地域から集会や学習会、宣伝、署名行動などをすすめ、比例定数削減を許さない一点で、多くの政党、団体、個人が共同し多彩な行動を展開していくことにしている。

(副理事長 有村一巳)


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