03・11/9 第19回最高裁国民審査結果 |
| 信任票 | ×点票 | 合計 | ×点比 |
泉 | 52,621,779 | 4,139,583 | 56,761,362 | 7.29% |
上田 | 52,782,152 | 3,979,280 | 56,761,432 | 7.01% |
甲斐中 | 52,709,395 | 4,052,112 | 56,761,507 | 7.14% |
島田 | 52,830,204 | 3,931,312 | 56,761,516 | 6.93% |
浜田 | 52,834,590 | 3,926,951 | 56,761,541 | 6.92% |
滝井 | 52,976,848 | 3,784,689 | 56,761,537 | 6.67% |
深沢 | 52,955,286 | 3,806,242 | 56,761,528 | 6.71% |
藤田 | 53,019,097 | 3,742,379 | 56,761,476 | 6.59% |
横尾 | 52,850,196 | 3,911,258 | 56,761,454 | 6.89% |
| 平均 | 6.90% |
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(注)総選挙投票対比 | | | | |
@小 | 59,502,369 | 棄権 | 274万0915 | (4.61%) |
A比 | 59,102,827 | 棄権 | 234万1373 | (3.96%) |
新聞報道による数値に基づき今回の国民審査結果から、次のような特徴点を指摘することができる。
第1に、私たちが重視した×点比=批判票について言えば、運動の不十分さを反映して、かなりの後退を認めざるを得ない。最高×点比は泉氏の7.29%(前回10.28%)、9名平均の×点比6.90%(同9.39%)とかなり後退したが、それでも400万前後の有権者の批判票は貴重である。
第2に、×点比が告示順に順次低下する右肩下がりでなく、官僚出身者に厳しい傾向が読み取れる。
告示順1番の泉氏(裁判官出身)が最高であるが、同3番の甲斐中氏(検察官出身)が×点比では2位の7.14%で、両名とも票数400万台であるのに対し、他の7名は全てその数値を下まわる。他の対象者の×点比は、告示順2番の上田氏(7.01%)が3位、次いで告示順どおり島田、濱田氏と続き、いずれも弁護士出身の滝井、深沢氏の×点比順位は入れ替わっており、告示順9番の横尾氏(行政官出身)が×点比では6位といった具合で、裁判官、検察官、行政官など官僚出身者への批判傾向が見られる。
第3に、棄権票が従前をかなり上まわった。
この点は、無記載票を全て「信任」に擬制する現行制度への有権者の理解がある程度進んだことの反映で、小選挙区投票者との対比では274万(4.61%)、比例代表投票者対比では234万(3.96%)というように、棄権票が前回の201万(3.21%)と比べかなり増えた。棄権の自由を徹底すれば、この数値は優に10%台に達するはずである。
今回の場合、審査公報のスペース拡大、最高裁ホームページによる情報、棄権の自由保障への選管当局の姿勢など一定の改善が見られる一方、大衆的国民審査運動の後退や選挙運動との著しい乖離が目立ったものの、最高裁裁判官の選任手続の民主化や国民審査制度の改善を展望した国民審査運動の意義は決して失われていないし、これを活性化する道はなお残されていることを強調しておきたい。