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 国民審査のための最高裁判事紹介  
2005年8月27日

審査対象の裁判官
才口 千晴 津野 修 今井 功 中川 了滋 堀籠 幸男 古田 佑紀
ビラが出来ました!
審査対象裁判官の経歴・関与判例・重要判決の解説と評価・国民審査の意義・問題点等を掲載してあります。
右のpdfファイルをダウンロードして、お手元のプリンターでの印刷して自由にお使い下さい。国民審査ビラ(PDF/382 KB)
※ビラに誤りがありました(以下です)。
  1. 古田氏 盗聴法の制定は99年、97年は原案
  2. 堀籠氏 関与判決はないとは言えない。
    「裁判長として関与した判決に特記すべきものはない」と訂正。
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 8月に衆議院が解散され、9月11日に衆議院選挙が行われます。社会の関心もそれに集中していますが、同時に行われる最高裁裁判官の国民審査も劣らず重要です。

1 国民審査とは

 最高裁の裁判官は憲法上内閣が任命し、この任命を国民が審査することになっています(憲法79条2項)。
 かつて佐藤内閣が、公務員・旧公共企業体職員のストライキ権をめぐる判決を変更させるために「タカ派」を続々と任命し、ついに逆転に成功したように、「憲法の番人」たる最高裁裁判官の任命は重要な政治的行為であり、国民の監視が必要です。アメリカでは、最高裁判事は大統領が指名し上院の承認を得るシステムになっていて、セクハラ疑惑が問題とされた1991年のトーマス判事のときのように、公開の場で適性が徹底的に論議されます。ドイツの憲法裁判所の裁判官は連邦議会と連邦参議院で各政党の推薦により選出され、3分の2の多数の賛成が必要であるため、一党に偏ることはありません。
 国民審査は事後的ではありますが、内閣の任命を審査し、不適格な裁判官を罷免することのできる、国民に与えられた現在唯一の手段です。投票所で配られる国民審査の投票用紙に「この最高裁判事をやめさせたい」と思ったら、名前の上に×を記入します。×が有効投票の過半数になると罷免されます。

2 最高裁の姿勢を裁く機会に…私たちは、次の主張をしています

● 最高裁裁判官任命手続きを民主化するために各界で構成される任命諮問委員会の設置と任命に際しての国会公聴会の開催を実現すること。

● 最高裁裁判官の出身枠構成を最高裁発足当初の5 (裁判官出身)、5 (弁護士出身)、5 (学識経験者)に戻すとともに、少くとも5人の女性裁判官を任用すること。

● 司法制度改革は、政府・大企業の使い勝手に奉仕するのではなく、「市民が主体」のものにしていくこと。

● 国民審査を○×式投票にする国民審査法の改正を急ぐこと。


3 密室で決められる最高裁人事

 最高裁は、違憲立法審査権と全下級裁裁判官の人事権(指名権)を持ち、「法の番人」「人権のとりで」としての役割を厳しく求められ、徹底して「国民のための裁判所」であることを義務づけられています。
 しかし、最高裁裁判官(定員15人、定年70歳)の任命権は時の政府が独占し、国民の全く目の届かない密室で、国会その他のチェックも受けないまま選ばれる仕組みになっています。かねてから最高裁裁判官の政府・行政寄り・官僚体質とその反人権・反憲法姿勢が批判されてきたのはそのためです。
 国民審査は、事後ではあるが、この政府任命の最高裁人事の適否をチェックし、不適格裁判官を排除することを本来の目的とする憲法上の重要な制度です。

4 国民審査の問題点と×印票の意義

 現行の国民審査は、法律上、対象裁判官を列挙した1枚の投票用紙で、個々人ごとに×印をつけるか、何も書かないか(無記載)の二つの投票しか認めておらず、無記載票を「信任」と見なす仕組みです。信任・不信任か分からない場合でも、特定裁判官だけの棄権を認めていませんので、その場合には、とにかく、全部棄権する(投票用紙を返すか、受取らない)か、何も記載しないで投票するしかないのです。
 これまで、19回の国民審査が行われ、延142名の裁判官が審査されましたが、全員が圧倒的な無記載票で「信任」されるという不可解な結果を生んできました。国民審査が不適格者排除という本来の機能を果たしていませんが、私たちは、最高裁の重大な任務・役割を重視し、国民審査を最高裁の姿勢を正すまたとない機会と受け止め、私たちの要求や批判を×印票に託す運動を続けてきました。

5 中央選挙管理委員会への要望書

 こちら

6 最高裁裁判官国民審査別統計表

回数実施日対象裁判官数最高×点比平均×点比棄権率
(単位%、カッコ内人数)
無効率
11949145.554.400.052.7
1月23日(168万)(1.7万)(88.3万)
2195259.679.040.245.5
10月1日(335万)(8.4万)(196万)
31955112.494.797.7
2月27日(409万)(179万)(274万)
41958510.099.330.478.5
5月22日(367万)(18.8万)(340万)
5196089.418.691.519.35
11月20日(356万)(60万)(368万)
6196398.247.51.298.07
11月21日(310万)(54万)(330万)
7196779.738.932.217.81
1月29日(409万)(103万)(356万)
81969410.329.813.079.86
12月27日(423万)(145万)(448万)
91972715.1712.955.788.63
12月10日(689万)(306万)(429万)
1019761011.6910.894.497.69
12月5日(588万)(257万)(419万)
111979810.9210.083.448.69
10月7日(524万)(188万)(457万)
121980414.8414.372.837.72
6月22日(803万)(167万)(453万)
131983610.8510.242.288.22
12月13日(557万)(131万)(460万)
1419861011.0410.381.535.99
7月6日(630万)(94万)(364万)
151990812.3411.613.815.89
2月18日(739万)(252万)(375万)
16199398.608.273.456.17
7月18日(489万)(217万)
17199699.308.893.754.74
10月20日(497万)(208万)
182000910.289.393.214.87
6月25日(593万)(201万)
19200397.296.92.94.36
11月9日(414万)(190万)(259万)

才口 千晴(さいぐち ちはる)

 1961年中大法学部卒。司法研修所18期。66年弁護士(東京弁護士会)、89年東弁副会長、中央大学法学部客員教授、司法試験考査委員、98年法制審議会倒産法部部会委員などを歴任。深沢武久氏の後任として最高裁入り。倒産法の専門家。大都工業の更生管財人など。倒産関係の論文多数。
 2004年10月15日非嫡出子の相続差別では違憲の反対意見。2005年1月27日外国人職員の昇任拒否訴訟では、合憲の多数意見。
 裁判長として、6月16日薬害エイズ名誉毀損訴訟で、安部氏の請求を認めた高裁判決を破棄。6月23日国立のマンション訴訟で、住民の上告を棄却。7月14日北九州市の情報公開訴訟では、公開支持の高裁判決を破棄(裁判官出身の泉判事は公開を認める少数意見)。

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津野 修(つの おさむ)

 1962年京大法学部卒。大蔵省入省。71年よりジェトロに出向、フランクフルト駐在、78年内閣法制局参事官、83年大蔵省主税局課長、86年より内閣法制局で第三部長、第一部長、次長、長官を歴任。61年に司法試験に合格しており、2004年弁護士登録の後、亀山継夫氏の後任として、最高裁入り。
 21年間にわたり内閣法制局に勤務し、長官として、テロ特措法、多国籍軍への自衛隊の参加問題などでしばしば政府見解を代弁した。
 最高裁では、裁判長として、2004年9月10日福井県職員の空出張情報開示訴訟で、県の非開示処分を取り消す判決。11月29日の旧日本軍の韓国軍人・慰安婦訴訟で原告の上告棄却。2005年1月27日外国人職員の昇任拒否訴訟では、合憲の多数意見。

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今井 功(いまい いさお)

 1962年京大法学部卒。司法研修所16期。64年東京地裁判事補。最高裁総務局付、調査官、民事局第2課長、第1・第3課長、東京地裁総括判事、東京高裁事務局長、最高裁民事・行政局長、最高裁首席調査官、仙台高裁長官、東京高裁長官を歴任。北川弘治氏の後任として最高裁入り。
 民事、刑事を担当し、それぞれ著作もある。司法行政と調査官で最高裁生活が長いが、東京地裁時代は労働部に在籍、日本航空事件では勤務の繰り上げ命令を無効とする判決。国労無料パス事件では団交事項となるとの判決。日本鉄鋼連盟事件では男女賃金差別を公序良俗違反とした。調査官時代には、旭川学テ事件を担当。
 最高裁判事としては、2005年7月15日富山県知事事件で、病院新設中止の行政指導が行政訴訟の対象となるとした。

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中川 了滋(なかがわ りょうじ)

 1962年金沢大学法文学部卒。司法研修所16期。64年弁護士登録(第一東京弁護士会)。86年一弁副会長、97年一弁会長・日弁連副会長。梶谷玄氏の後任として最高裁入り。
 弁護士として特に目立つ業績はない。
 最高裁では、2005年7月1日宮崎信金事件で内部告発者の解雇を無効とした高裁判決を維持。7月22日外交文書開示を命じた高裁判決を破棄差し戻し。

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堀籠 幸男(ほりごめ ゆきお)

 1964年東大法学部卒。司法研修所19期。67年東京地裁判事補、最高裁刑事局付、調査官、人事局任用課長、内閣法制局参事官、最高裁人事局長、事務次長、事務総長、大阪高裁長官を歴任。金谷利廣氏の後任として最高裁入り。
 司法行政が長い司法官僚の中心人物。内閣法制局に8年在籍。次期長官候補の一人。
 裁判官としては、刑事畑で、刑事訴訟関係の論文もある。
 最高裁では、まだ裁判長として関与した判決に特記すべきものはない。

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古田 佑紀(ふるた ゆうき)

 1967年東大法学部卒。司法研修所21期。69年検事任官。ミシガン大学ロースクール留学。宇都宮地方検察庁検事正、法務省刑事局長、最高検察庁刑事部長、最高検察庁次長検事などを勤め、2005年退官、同志社大学法科大学院教授。福田博氏の後任として最高裁入り。外務省枠が一時的とはいえ削られ検察官が増えた格好になる。
 長い間、法務省刑事局で立法事務に携わった検察きっての理論家の一人。大コンメンタール刑法の編集など著書論文多数。87年のコンピュータ犯罪に関する刑法改正、99年の盗聴法の制定、少年法の改正等関与した法律多数。
 最高裁では、就任したばかりで関与判決はない。

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