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年頭から日本経団連会長をはじめとした財界や政府与党幹部から消費税の税率引き上げ発言が相ついでいる。いずれも、消費税率16%を当然視し、あるいは容認するものである。
これは、政府税制調査会が、昨年11月19日に発表した「平成15年度における税制改革についての答申―あるべき税制の構築に向けて」、これを受けた政府・与党、「平成15年度税制改正大綱」を是認し、その実行を迫るものである。
一方、今年政府税制調査会の総会に出席した小泉首相は、「私の在任中は上げない」と強調したが、首相は、これまで機会をとらえて国民に「広く薄く」負担をもとめる税制を要求し、経済財政諮問会議では、「消費税反対なら年金の議論はできない」と発言し、多くの勤労者の切望する年金制度の維持を人質に、消費税増税を迫ってきた。自らは国民の批判を免れながら、消費税増税しかないという状況を作出しようとするものにほかならない。
増税の根拠とされている今日の財政破綻は、無駄な公共事業、軍事費の聖域扱いなどによる浪費と、大企業や高額所得者・大資産家に対する減税によりで生じているものである。これを最悪の大衆課税である消費税の増税や、中低所得者の所得税増税、中小企業への事業税増税(外形標準課税)で、穴埋めしようとすることはまったく本末転倒である。そしてこのような大企業・大金持ち優遇、大衆課税強化の政策が、消費を冷え込ませ、経済をさらに失速させ、失業率を上げるという状況を引き起こしている。小泉内閣は、財政赤字を累増させた歴代自民党の失政を踏襲するだけでなく、急速にこれを拡大しようとしている。
国民生活をさらに深刻な苦境に追い込む消費税の増税、諸控除の改廃などによる所得税の大衆課税化、中小企業に対する外形標準課税の導入に強く抗議し、不公平税制を拡大する大企業に対する法人税減税を中止することを要求する。
2003年2月1日
©日本民主法律家協会