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改憲手続法の強行採決に抗議し憲法運動のさらなる発展を呼びかける声明

 5月14日、自民・公明両党は、参議院本会議において改憲手続法(国民投票法)案の採決を強行し、可決成立させた。日本民主法律家協会は、この暴挙に怒りを込めて抗議する。

 憲法改正における国民投票は、国民が国の最高法規を制定するという、主権者としての権利行使の究極場面である。その重要性に鑑み、現在その制定の必要性があるか否かを含め、主権者である国民の意思形成の自由を十分に保障しその国民意思が公正・公平に反映する手続きになっているかを十分な時間をかけて慎重に審議をつくさなければならない。しかるに、自民・公明両党は、本年4月13日に衆議院本会議で強行採決し、さらに参議院に送られて僅か1ヶ月の審議で中央公聴会も開かないままに採決を強行したのである。

 この改憲手続法は、9条をはじめとする日本国憲法の基本原則を覆滅するために「外堀」を埋めようとするものであって、そもそも今日において制定されるべきでものではない。またその内容においても、国民の主権者としての自由な意思形成を保障しその意見を公正・公平に反映するものとなっていない。このような改憲手続き法の採決を強行した自民・公明両党の暴挙は、二重、三重に非難されなければならない。

 しかしこの間、改憲手続法制定の動きに対して国民の中に反対の運動が大きく拡がってきた。この運動の拡がりの中で、当初の与党案にあった一括投票や公務員・教師の運動規制の罰則、無料広告における議席比例等の少なからぬ重大な問題点を撤回させたことは、その具体的制度内容の面でも、また運動上の経験の面でもきわめて重要なことである。

 また、この間の各新聞社等の世論調査の動向を見ると、改憲を必要とする意見は減少傾向、不要とする意見は増加傾向にあり、特に9条については改訂不要とする意見が改訂必要とする意見を一貫して圧倒している。この間の国民の側の草の根の運動の拡がりの現れである。

 私たちが草の根の憲法運動を更に大きく拡げれば、こうした改憲阻止の世論を確固たるものとし、改憲の動きを押し戻すことが出来る。その先には、真に平和や人権や民主主義の憲法理念が根付いた社会への展望が開けてくる。大いに、意気高く、憲法を擁護し活かす草の根の運動を展開していこう。

同法の施行は3年後。この3年間が改憲諸勢力の間での改憲発議案すりあわせ作業の時間となる。憲法改悪阻止の闘いはいよいよ正念場を迎えた。

 日本民主法律家協会は、法律家集団としてその職能を活かし、とりわけ9条2項の意義を確認することを中心に据えて、国民的な憲法運動の発展のために全力を尽くすものである。


2007年5月18日
日本民主法律家協会
理事長  中田直人
事務局長 海部幸造



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