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「原発と人権」全国研究・交流集会in福島からのアピ−ル

1,2011年3月11日の東日本大震災に引き続いて起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故は、これまで私たちが経験をしたことのない質の、多様かつ広範にわたる、膨大な被害をもたらしました。
 ふるさとの山や河川や海や生活の場を、目に見えぬ放射能で汚染し、人々の生活基盤を奪い、財産を奪い、子どもの遊びの場を奪い、生徒の学習の場を破壊し、家族の別居を余儀なくさせるなど様々なレベルのコミュニティを破壊し、人々の健康を損ない、大きな不安を与えています。こうした被害が今なお継続していて、解決の見通しすら立っていません。
  まさに、私たちがはじめて経験する、未曾有の被害です。

2,私たちは、こうした事態に、一体どの様に対応して行ったらよいのでしょうか。
 まず、この被害の実態とその内容をより正確に把握し、理解して、広く国民に、世界の人々に共通の認識として拡げることが何よりも必要です。
 この過酷な被害をもたらした人災を2度とくり返されることが無いような社会を創っていくことは、この事故を経験した私たちの責任でもあります。
 そのためには、事故の原因を徹底的に明らかにすると共に、こうした被害をもたらすこととなった背景も含め、加害者である東電と、原発推進政策を国策として強行してきた国の法的責任、そして政治的・社会的責任を明らかにすることが不可欠です。
 そうした原因と責任を明確にすることの上に立って、被害の回復(破壊されたコミュニティーの回復と奪われた「生業、学び、文化、遊び、そして家族・家庭と生活」の回復等々)、および、損害の完全な賠償(被害者が奪われ、傷つけられた人権・人間の尊厳の全面的な回復を求める立場からの東電と国に対する損害賠償要求)、そして、こうしたことを実現するための具体的政策を提起し、国と自治体にそうした施策を実行させていくことが必要です。
 これら被害の可能な限りの回復と完全賠償の課題は、まさに、日本国憲法が、幸福追求権(13条)、平和的生存権(前文、25条)、居住権(22条、25条)、教育を受ける権利(26条)、労働権(27条)、財産権(29条)等により、基本的人権として保障する内容であり、国は、そして自治体も、その実現する責務を負い、最大限の努力を尽くさなければならないはずのことでもあります。
 さらに、原発を再稼働させることなく、原発に依存しない社会を創っていくことが必要です。例えば、新潟の原発をどうするかは、新潟の人々の問題でもありますが、その原発による電力を利用する首都圏の電力消費者の問題でもあります。そのことを私たち国民皆が銘記しなければならないと思います。

3,このような、被害の実態と本質をより正確に把握すること、事故の原因と責任を解明すること、被害回復と完全賠償の方向性を明らかにすること、そうしたことをより広く社会に伝え、実現していくためには、被害者の皆さん、自然科学者、社会科学者、法律家、ジャーナリスト等、そしてこうした活動を支える広範な市民の皆さんの、分野を超えた幅広い協力と連帯が不可欠です。

4,現在、野田民主党政権は、福島原発事故の原因も明らかにならず、さらなる大地震の危険が指摘されている状況の下で、多い原発をはじめとして停止中の原発の再稼働を強引に推し進めようとしています。
  私たちは、本日、原発事故から1年を迎えた機会に、ここ福島で「『原発と人権』全国研究・交流集会」を開催し、多くの成果をうることが出来ました。私たちは、この成果にふまえ、今後更に、福島原発被害者の被害の回復と権利救済、原発再稼働を許さず、原発被害の再発を許さないための活動に取り組む決意を新たにすると共に、更に広範な分野の、多くの市民の皆さんが、こうした取り組みに共同して頂くよう、心から訴えるものです。
 2012年4月8日
                    「原発と人権」全国研究・交流集会