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家裁からの通信

(井上博道)
第0001回 (2004/02/11)
はじめまして

はじめまして、今日から「家裁からの通信」を書き始めます。
まず、自己紹介のようなものから。私は、いまから20年前に家庭裁判所の調査官になりました。(もっとも、20年のうち4年程は、調査官とは関係のない仕事をしうていたのですが)
 調査官としては、凡々たる生活を送ったと思います。特に意欲的でもなく、特にさぼっていたわけでもありません。だから、個人的に何か言えるようなことはありません。
 しかしながら、どんなに平凡な生活を送っていたとしても、20年間で見聞きしたこと、感じたことはあるのかもしれません。そうした諸々の事を紹介できれればよいと思っています。
 ちょっとだけ、日民協とのご縁があったのは、自分が少年法「改正」問題に係わったからでした。いわゆる「山形マット死事件」を契機に、突如ふってわいたように少年法「改正」問題がおきた頃、平々凡々たる自分は恥ずかしい話ですが、その問題に感心がほとんどなかったかもしれません。それが数年後には、少年法改正運動のうねりの中で翻弄され、多くの人と語り、多くの熱意ある人たちにもまれていたのですから、人生というのは面白いものです。日民協ともそうしたご縁で知り合ったわけです。
 「山形マット死事件」に端を発した少年法「改正」論議が、いつのまにか「神戸事件」の問題「激増し、凶悪化する少年犯罪」にすり替わったこと、そしてそれがマスコミの媒体を通して多くの人々のこころの中に「怪物」を生み出してしまったこと、その事について検証もなく、何となく日々が経過していること。平凡な自分は、何かができたとは思いませんが、一生この時代のこの事を背負っていきたいと思っています。もし「家裁からの通信」で多くの事を語れたら、そのことも書きたいと思っています。
 最後に、あの時の経過を含めて「裁かれる少年たち」(大月書店)という本にしました。もし興味のある方は読んでいただければと思います。
 次回は「子どもの権利条約ジュネーブ会議を観る」というテーマを報告します。

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