ひろば
第0012回 (2005/04/24)
民事第6部合議体(内田計一裁判長裁判官)の強引かつ不当な訴訟指揮に抗議します
= 裁判所は、憲法と訴訟法にしたがった訴訟指揮を。事実に真摯に向き合い、原告の裁判を受ける権利の実質的保障を。=1.自衛隊イラク派兵差止訴訟の紹介私たちは、今、日本政府がイラクへ自衛隊を派兵していることは「憲法違反」であること、それによって私たちが信じ大事にしたいと思っている平和憲法を踏みにじられて私たちの「平和的生存権が侵害」されていることについて昨年2月23日裁判を起こし、国を訴えています(第1次〜第4次、原告数3、148名)。
先週の金曜日(4月22日)、名古屋地裁1号法廷にて本訴訟の第5回口頭弁論が行われました。4月の人事異動で津地裁より新たにきた内田計一裁判官が裁判長を勤めましたが、その訴訟指揮は常軌を逸する強引且つ不当なもので、私たち原告の裁判を受ける権利を著しく損なうものでした。
私たちはこの内田計一・新裁判長の不当な訴訟指揮に強く抗議します。そしてこの事態を一人でも多くの人に知って頂きたく、以下にその経緯・実態を皆さんにお知らせします。
2.第5回口頭弁論(4月22日)に至る経緯4月12日、名古屋地裁民事6部(蒔田恒久書記官)より原告弁護団事務局長に対して裁判長及び右陪席交代が告げられました。
同14日、原告弁護団は裁判所に下記3点を申し入れました。
- 4月22日の期日は従前の合意の内容のとおり行うこと。
裁判所との従前の約束どおり、原告らはすでに4月22日の期日の準備を既に進めてきている。4月22日の期日では、弁論の更新を留保した上で、第5回の口頭弁論においては原告と裁判所との間で予め合意した内容のとおり、期日を持って頂きたい。 - 更新弁論の期日を別途設けること。
そもそも裁判官が交代したことを知った後、4月22日の裁判期日までの僅かな期間では、1年に及ぶ弁論の内容を要約した更新弁論を行うための準備ができない。したがって更新弁論を行うための期日は別途設けて頂きたい。 - 更新弁論の期日は終日、少なくとも午後一杯の時間を確保すること。
1年間に及ぶ訴訟の概要をどんなにまとめても、1時間では到底終わらない。
これに対して裁判所は、次回期日までの間に進行協議を2回入れたい(その際には原告の参加は認めない)こと、更新弁論のための時間は22日だけとしてその後の口頭弁論の更新弁論は認めないとの意向を示しました。
原告弁護団は、これだけ多数の原告がいる事件において原告の参加を認めない進行協議ではなく公開の法廷において審理を進めること、準備に必要な時間を考慮の上、更新のための口頭弁論の機会を別途設けることを強く求めました。しかし、裁判所は全く耳を傾けませんでした。
3.4月22日の期日における訴訟指揮このような状態のまま、4月22日の第5回口頭弁論期日を迎えました。内田計一裁判長、大石啓子裁判官、高橋貞幹裁判官は、次のような訴訟指揮を行いました。
- 冒頭、内田裁判長は弁論更新の手続に入ろうとし、原告側の意見を求めたため、原告弁護団は前記申し入れのとおり、実質的な更新弁論の機会を次回与えるよう、求めました。
- しかし内田裁判長は、「今日更新弁論して下さい。機会は与えました」と繰り返し、別途実質的な更新期日を持つことを拒みました。原告弁護団は、「1週間では1年間の裁判の更新弁論を準備することができない。実質的な更新弁論の期日をしっかり確保して下さい」と説きました。
- すると内田裁判長は被告に意見を求めました。被告は「従前の通りです。また、一方当事者だけの更新だけで更新手続きは可能です。判例でもそれを認めたものがあります。確かに、判例は一方当事者が欠席したり審理を拒否した場合ですが、今回のケースにも当てはまります」と裁判所と申し合わせていたかのように述べました。原告弁護団は被告の意見の根拠となっている裁判例は今回の事件とは異なるものであること、直接主義の要請からは別途の期日を確保すべきであること、を述べました。しかし、裁判長は被告の発言を受けて、突如「更新しました」と弁論の更新を宣言しました。
- 原告弁護団は、「民訴法249条2項には、当事者それぞれが更新を行うと規定されており、私たちは更新を拒否したのではなく、更新弁論を実質的に認めて欲しいと求めているのであり、これを無視しての弁論更新は明らかに249条に違反する」と直ちに異議を唱えました。
内田裁判長の強硬な訴訟指揮に、原告で埋め尽くされた法廷からも抗議の声が次々に挙がりました。皆、手を挙げ原告の名を述べた上で理路整然と発言しました。内田裁判長は法廷内を収めることが全く出来ないまま、5分合議のための休廷をとりました。
- 再開廷後も内田裁判長は、弁論の更新をしたことを前提に訴訟指揮を進めました。
原告及び弁護団から、「更新が適法になされていない」とそれぞれましたが、裁判所はそれに全く耳を貸さず、「4月15日付準備書面を陳述されますか」等、一方的に訴訟を進めようとしました。どんなに異議を唱えても、「更新しました」と繰り返すのみで何ら説明することはありませんでした。内田裁判長はさらに、「進行協議を設けたいと思うがどうですか」と進行協議を求めましたが、原告弁護団は「そもそも弁論更新をしていない」と再度抗議しました。
D 法廷内から次々と原告の厳しい批判が出されましたが、内田裁判長はこれらを全て無視して、「では、次回期日を決めます。9月9日は如何ですか」と発言しました。これに対して被告は誰一人として手帳も全く見ずに、すでに申し合わせていたかのように「結構です」と述べ、裁判長は一方的に「では、次回は9月9日とします。本日は閉廷」と宣言して出て行ってしまいました。
この間、開廷からおよそ50分間でした。法廷の間中、原告も代理人もしっかり手を挙げ、立ち上がって理路整然と意見を述べました。
4.こんな裁判所では、私たち市民は司法を信頼することができません私たち原告は、当たり前のことを要求したのです。何も訴訟遅延を図ろうとしているわけでもなく、裁判所にこの事件のこれまでの審理をきちんと知ってもらうために更新弁論の機会を保障して欲しいと述べたに過ぎません。にもかかわらず、内田裁判長は私たちの当然の要求を認めようとせず、法廷で強硬な訴訟指揮に終始しました。このような裁判官の姿勢を断じて許すわけにはいきません。
私たち原告は、「憲法を守る砦」「人権侵害を救済する最後の場所」として、裁判所を信頼して、この訴訟を起こしたのです。ですが、このように一方的で強硬的な訴訟指揮を行う裁判官が、私たちの言い分を真摯に受け止め、真剣に事実と向き合って裁判する、と期待することができません。裁判所がこんなに一方的な裁判をする場所であるならば、司法を信頼することはできません。
裁判所が「市民に開かれた司法」を標榜するのであれば、より一層、訴訟当事者の意向を真摯に受け止め、適切な訴訟指揮を遂行する責任が今まで以上に課せられているのです。民事第6部の訴訟指揮は、司法改革の流れにも逆行するものです。
名古屋地裁民事6部のように、当事者の意向を無視した強引な訴訟指揮を行う裁判所の存在は、市民の不幸であり、著しい損失です。民事6部合議体が行った行為は、民訴法の直接主義に反するだけではなく、私たち原告の「裁判を受ける権利」を正面から否定するものであり、決して許すことが出来ません。このような訴訟指揮を行う民事6部(内田計一、大石啓子、高橋貞幹)に対し、ここに強く抗議します。
2005年4月25日(月)
自衛隊イラク派兵差止訴訟の会(代表 池住義憲)
〒466−0604名古屋市昭和区宮東町260名古屋学生青年センター内(Fax:052-781-4334)
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