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清水雅彦の映画評

第0022回 (2005/08/09)
『チーム★アメリカ ワールドポリス』〜アメリカの下劣さがわかる映画

【ストーリー】
パリでビン・ラディン氏風のアラブ人らが大量破壊兵器の取引をしようとした時、そこに独自の航空機で駆けつけたのはハリウッドに秘密基地があり、「テロリスト」と闘うために結成された国際警備組織「チーム・アメリカ」の隊員たち。「テロリスト」を皆殺しにするが、メンバーの1人も失ってしまう。チームのリーダーであるスポッツウッドは、潜入捜査をするために、新たに俳優のゲイリーを隊員にし、今度はカイロで「テロリスト」を皆殺しに。ゲイリーほか、クリス、ジョー、リサ、サラたち隊員がさらに闘いを挑むのは、「テロリスト」の黒幕であり、大量破壊兵器の使用により世界征服を企む「独裁者」(金正日総書記)。彼が政治的に利用しようとしたアレック・ボールドウィンら全米俳優協会の面々とも闘うことになり……。


【コメント】
というストーリーを読んで、思わずこの映画に興味を持たれるかもしれませんが、これはひどい映画です。見るに値しない。1999年に『サウスパーク 無修正映画版』を世に送り出したトレイ・パーカー(監督・脚本)とマット・ストーン(製作・脚本)コンビによる作品。映画の冒頭で、登場人物は実在の人物・団体と関係ないとことわりますが、登場人物は実在の人物にそっくりで名前も同じマリオネット(操り人形)。

最初の方は、頼まれもしないのに勝手に外国に出かけては、隊員たちが容赦なく「テロリスト」を殺しまくり、誤射とはいえエッフェル塔やピラミッドも派手にぶっ壊してしまうという描き方に、今のアメリカの軍事戦略批判ともとれなくもありません。しかし、パーカーとストーンの2人には、後で触れる描写との関係でもそうですが、必ずしもそのような意図があるわけではありません。あらゆる者をコケにして楽しんでいるようです。しかし、ブッシュ大統領やブレア首相もチラッと登場しますが、この2人は発言せず、名指しで批判されているわけではありません。

CG全盛のこの時代にマリオネットの派手な映画を作るのは、「ハリウッドでもっとも金を稼ぐ映画プロデューサー」であるジェリー・ブラッカイマーに対するパーカーとストーンの「挑戦状」だそうです。挿入歌でも『パール・ハーバー』やベン・アフレックが徹底的にコケにされています(挿入歌と言えば、「エヴリワン・ハズ・AIDS」「アメリカ、ファック・イェー」の歌詞に品がなく、「独裁者」に自分の孤独さを「アイム・ソー・ろ〜ンリー」という訛った英語で歌わせ、ばかにします)。

また、俳優の労働条件向上にも努め、政治的発言を積極的に行う全米俳優協会や有名俳優・監督が2人は嫌いなようで、「チーム・アメリカ」を批判する当協会も悪役にし、アレック・ボールドウィン、サミュエル・L・ジャクソン、ショーン・ペン、ジョージ・クルーニー、ティム・ロビンス、マット・デイモン、リヴ・タイラーなどが残酷な殺され方をします。マイケル・ムーアにいたっては、「自爆テロ」。本当に批判するなら、大国の政治家をすべきだし、批判の仕方にも品が必要でしょう。

後半になると悪乗りの度が増し、マリオネット同士のしつこいセックス(おそらく、このようなシーンがあるため、R18指定になったのでしょう)、延々と大量に吐き続けるゲロ、男性が男性に要求する性行為、「独裁者」の口から出てくるゴキブリ型異星人……。観た後に気分の悪くなる映画ですが、「ファック(ユー)」という言葉を連発し、暴力とセックスが好きなアメリカ社会のレベルを知るにはいい題材かもしれません。



2004年アメリカ映画
原題:Team America World Police
監督:トレイ・パーカー
提供:パラマウント映画
配給:UIP
上映時間:1時間38分
渋谷シネ・アミューズ、シネ・リーブル池袋など各地で上映中
http://www.teamamerica.jp/

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