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伊藤和子のNYだより

第0006回 (2004/11/05)
大統領選挙の衝撃

みなさん、こんにちは。NYの伊藤和子です。
 大統領選挙の結果は皆さんご承知のとおりです。この2-3日、周囲の人たちとわかちあった気持ちというのは大体以下のような心情で、衝撃は深いものがあります。
 周囲の人たちの気持ちも含めて、ご紹介します。
 陰鬱な内容で明るい展望がないので恐縮ですが、それが今の率直なみんなの気持ちかな、と思います。特に留学生の多くは心の底から怒っています。
 ブッシュがこれからも4年間政権につくというのは本当に恐ろしいことで、悲鳴をあげたくなりますが、心して抵抗しなくては。
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 -青い州-NYでは11/2以降、多くの人が泣いている。悲しんでいる。
 みんな力というか希望が無くなってがっくりしている。なんとか歩いたり、動いたり日常生活を送っている。
 11/2の開票直前は、ケリー当選の予感が満ちていた。出口調査の結果でケリーに勢いがあると伝えられていたから。
 9.11で多くの犠牲者を出したNY、ニュージャージー、DCなど、さらに隣のペンシルバニアまでケリー支持が大きく上回り、テレビではキャスターが「都市部では、テロの恐怖よりイラク戦争への怒りが大きく上回っていることが示されている」と繰り返し伝えた。
 突然、CNNの女性キャスターがほとんど泣き顔になってフロリダの状況を伝えてから急展開がはじまった。
 それでも、11/2から一夜明けてもみんなオハイオの票を争うものだと思って、寝不足で出勤した。
 昼間にケリーが敗北宣言をしたとの報が入り、みんなが愕然とし、騒然となった。

 ケリーに希望があったわけではない。
 ブッシュをやめさせることに一縷の希望があった。
 その、青い初夏のような騒がしい希望が死んだ。
 みんなその死を静かに傷んでいる。

 そして「アメリカ人」に失望している。
 アメリカの中央に広がる「赤い州」の存在にとまどっている。まるでモンスターのように。
 「赤い州」の人々が、保守的な評論家とかわるがわるに「ケリーはリベラルすぎる。非宗教的すぎる。中絶やゲイマリッジに寛容だなど許されない。この国はそもそも保守的な国なのだ」と語る。
 イラクのことなどまるで何もないかのように、まったく問題にせずに。
 現実に存在するおびただしいイラクにおける死より、抽象的な胎児の保護にひどく熱心に執着する。

 彼らがいったい何を考えているのか、
 -青い州-NYの多くの人には理解できない。

 いまは雨が降っている。
 アラファト氏が死んだという情報も一時的に流れたので、今日はまた絶望的な気持ちが覆った。
 でも、こん睡状態が続いているそうなので、まだまだ彼は生き続けると信じたい。
 そうしている間に、イラクではどれだけたくさんの人々が死んで行くことか。

 由々しきことはまだまだある。
 議会では上下両院で共和党が大きく議席を増やし多数を確保した。いよいよ歯止めが利かなくなるだろう。ブッシュは極端な保守派の裁判官を任命し続けるだろう。
 この狂気の独走がさらに4年間続くのだろうか。
 途方もない。

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