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伊藤和子のNYだより

第0009回 (2005/02/25)
湾岸-そしてイラク帰還兵

こんにちは。
みなさん、お元気ですか?
NYの伊藤和子です。
冬の間いろいろと忙しかったため、「お便り」というかたちで御連絡できなかったのですが(反省・・)、大丈夫、凍死せずに、元気でやっています(^^)。幸いなことに今年のNYは暖冬の部類に入ると思いますし、なんというか身が引き締まるようなNYの寒さが好きになりました。

今年にはいって、UNの仕事、裁判のリサーチ・・・そして大学、となにかと追われています。
今年5月にNPT再検討会議という核軍縮の国際会議がNYで開催されるので、その機会に、イラク、劣化ウラン、核問題を訴える機会をつくれないだろうか、と思って日本のいろんな方とご相談、準備を始めているところです。
 ところで、先日、湾岸帰還兵でDU問題のアクティビストのデニス・キーンさんがNYに来られたのでおあいしましたので、今日はその際のお話を。
 湾岸帰還兵でアクティビスト、というのは全米広しといえどデニスさん1人なのだそうで、全国を講演して歩いているそうです。

 政府から湾岸戦争症候群(診断名なし)と認定されて、毎月補償金をもらっているそうですがそういう補償対象者は全米で25万人にのぼるとのこと。
 兵士は、入隊の際のペンタゴンとの契約により、国に対する裁判は出来ないそうです。
みんな月々の補償金をもらって泣き寝入りしている状態のようです。

 彼は、劣化ウランの後遺症に苦しむイラク戦争帰還兵ともコンタクトを取っていますが、NY州に住む数名のイラク帰還兵が弁護士を雇って劣化ウラン問題の訴訟を起こそうと準備しているとのこと。これからおあいする予定です。

 このデニスさん、実は、8月の共和党大会の際に「公衆の前で不合理に大きい声を出した」「公衆の通行を妨害した」という理由(NYではこれ、犯罪。怖いですよねえ)逮捕され、12月にトライアルがあったのです。共和党大会で逮捕された人で、陪審トライアルを迎えたのは彼が最初。
 ところが、裁判で証言をした警察官の証言が全て嘘だった(その警察官は逮捕の場所にいなかったのに、話を適当につくりあげて証言をしていた)ことが裁判で明らかになってしまいました。

 NLGという法律家団体が市民に対する人権侵害の監視活動をしていて、デニス氏の逮捕の際の一部始終をビデオに取っていたので、警察官の嘘が立証されてしまったのです。検事が取り下げてデニスさんは自由の身になったというわけです。
 これからも同様のトライアルが予定されていますが、多くが無罪になるか検事が断念することと思います。

 逮捕された人たちの中には、単なる通行人の若い女性たちも多く、そういう若い女性たちが中心になって、NY市を相手に損害賠償を求めるクラス・アクションを始めています。 このクラス・アクションには、NYの著 名な人権派弁護士がせいぞろいして(まだトライアルは当分始まりそうにないですけれど) にぎやかにやっている模様です。

 デニスさんの弁護を担当した弁護士のオリビエさんにもおあいしたんですけれど、弁護士らしくないギターと平和と環境を愛する青年で(70年代系)、とっても好感を持ちました。
 もちろん、デニスさんもすごいパワフル!! 5月にはNYに来て被爆者の方々と交流したい、出来れば8月に日本に行って報告会をしたいと言っていましたので、是非興味のある方はよろしくお願いします。

 彼の紹介で、NY州の大学各地でイラク戦争被害の写真展を取り組んですごく成功している、という女性のアクティビストの方ともお話をしました。
 学生たちが感想を残していくのですが、デニスさんによると「みんな衝撃を受けて本当に真剣に戦争を考え直していた。
デニス氏と その感想を呼んでいて、涙が出てきた」ということでした。
 反戦運動をメディアが取り上げない度合いはアメリカのほうが日本よりむしろひどいと思うのですけれど、みんな草の根でがんばっているのです。
 デニス氏との写真を一枚貼り付けます。
では!!  また近いうちに(^^)お便りをします。

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