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清水雅彦の映画評

第0034回 (2006/01/22)
『ステルス』〜配給・宣伝する側もレベルが低いよ

ステルス戦闘機でアメリカ海軍の「テロ対策」プロジェクトに携わる3人のパイロット(白人男性、白人女性、黒人男性)と人工頭脳が操縦する無人ステルス戦闘機。その無人戦闘機の人工頭脳が落雷をきっかけに自我に目覚め、暴走してしまうという話。もちろん、派手な戦闘シーンが多いのですが、プラス、パイロット同士の恋あり、人間と人工頭脳の「友情」あり……。あーくだらない映画。

さすがアメリカ映画はアメリカ政府に忠実で、だからこそストーリーの点では無茶苦茶です。彼・彼女らの活動範囲は全世界。なんたって国際法無視がへっちゃらなアメリカ軍ですから。ミャンマーでは「テロ組織指導者」を、タジキスタンでは核弾頭を一方的に爆撃し、不時着した朝鮮では不法侵入者を捕まえに来た朝鮮軍もやっつけてしまいます。現実にも国際法違反の戦争をするアメリカそのものです。

ところで、この無人戦闘機で興味深いのは、その最新鋭の技術。戦闘能力以外に、約9キロ先の人物も網膜・指紋・声紋で識別してしまうのです。現実にも既に無人偵察機の活動は当たり前ですし、監視の技術もますます進歩しています。でも、機械同士が戦争をするまでになるのだったら、いっそのこと戦闘場所も機械の中、要するにテレビゲームで戦えばと思ってしまいます。そうすれば、悲惨な戦争をなくすことができるのに。しかし、操る生身の人間が愚かだから一向に戦争がなくならない。

政治家も愚かだけど、映画人も愚か。この映画は典型的なおばかなアメリカ映画。国際法無視・アメリカ正義の内容面にとどまらず、女性パイロットは水着姿を披露し、事故で死ぬのは黒人男性、恋が芽生えるのは白人男性と白人女性。この程度のレベルの低い映画を日本で配給する会社や、映画パンフレットで提灯コメントを書く執筆者の姿勢も問われます。ダメな映画は配給しない、宣伝しない職業人魂を持ってほしいです。



2005年アメリカ映画
上映時間:2時間
http://www.sonypictures.jp/homevideo/stealth/

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