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清水雅彦の映画評

第0044回 (2006/03/04)
『RIZE(ライズ)』〜この踊りはすごいけど……

暴力や銃声、麻薬、ギャングがまちにあふれ、1992年のロス暴動で知られるロサンゼルスのサウス・セントラル地区。このまちで、ピエロの格好をして、子どもたちにダンスの楽しさを教えるトミー・ザ・クラウン。その踊りはアフリカの民族舞踊にも似た、手足や身体全体を高速で動かすダンスだ。「ギャングかダンスか」を迫られる若者に「ライズ(這い上がる)」する手段を広め、チームによるダンス・バトルも展開され……。

学生の頃の一時期、渋谷・六本木などのディスコ(まだ「クラブ」ではありません)に通っていたし、複数の方からのお薦めもあり、本作品を見てきました。それにしても、この早い踊りにはとてもついていけない。降参です。最後のスローでの映像が鍛え抜かれた肉体美と共に印象的です。しかし、あまり映画としては面白くありませんでした。

それは、おそらくこのようなダンス・ムーブメントが現実逃避に見えてしまうからでしょうか。地域の生活環境や国の社会政策に問題があるのだから、「踊りもいいけど闘え」と思ってしまうのです。もちろん、趣味にしろスポーツにしろ、現実逃避の側面があり(だからこそ人によっては必要だし)、このダンスには社会的意味もあると思います(歴史的経緯を無視して、表面的にラップやブレイクダンスをする日本人は滑稽でしょう)。

でも、これもスポーツと考えれば、これはこれで素晴らしい。トリノ五輪が終わってホッとしたのは日本のメダル数の少なさ。いくつも取った後のマスコミのばか騒ぎが嫌いなので。日本より人口が多い欧州の国はないのに1個ですか。白人・黒人には体格差でかなわないというのは嘘。韓国はメダル11個ですよ。「先進国」でこの人口なら、ノーベル賞の自然科学3賞の受賞者が100人を越えてもおかしくないのに、これまで9人。中国も成功した有人宇宙船はおろか、ロケットの打ち上げでも失敗する。各方面で活躍する個性的な人間が少ない原因を深刻に受け止めるべきです(また脇道にそれて失礼!)。

2005年アメリカ映画
上映時間:1時間27分
http://www.rize-movie.jp/
渋谷・シネマライズほかにて上映中

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