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清水雅彦の映画評

第0055回 (2006/06/23)
『ココシリ』〜チベットカモシカの乱獲と闘ったチベット族の話

海抜4700メートルの中国青海省チベット高原ココシリ。厳しい自然環境のココシリは、最高級毛織物「シャトゥーシュ」の元になるチベットカモシカの生息地として有名である。しかし、この20年間の乱獲で生息数が100万頭から1万頭に激減してしまったため、地元チベット族の有志が民間のマウンテン・パトロール隊を結成し、密猟の取り締まりを始めた。隊員が密猟者に殺される事件が発生した後、北京から取材に来た記者のガイ(チャン・レイ)は、リータイ(デュオ・ブジエ)に率いられた隊に同行し……。

本作品は、1996年11月1日に密猟者追跡活動に出発したリータイらの17日間の実際の活動を元にした中国映画です。監督・脚本はルー・チューアン。映画の中では、チベット語が飛び交い、チベット族の風習・文化もしっかりと描いています。北京の約3分の1の薄い空気の下での撮影のため、関係者のほぼ全員が急性の高山病になり、監督も俳優も撮影後は救急車で病院に運ばれ、点滴を打つことになったそうです。

ただ、やはり法律家としては、民間パトロール隊が武装して、検問・身体検査・罰金の徴収・身体拘束を行うことには異論を差し挟みたくなります。また、映画としては、パトロール活動をせざるをえないチベット族と、貧しさ故に密猟の手伝いをせざるをえない農民の状況や、それをもたらす背景などをもう少し描いてほしいと思いました。

しかし、映画で描かれる吹雪や流砂などの自然の恐ろしさ、チベット族の風習・文化・友情、そして何よりもここまでしてカモシカを守るために無償でパトロール活動に従事する使命感に引き込まれます。そして、この壮絶な取り組みがガイの記事で世間に知れ渡ることにより、中国政府は1997年にココシリ国家級自然保護区管理局を設置。チベットカモシカの保護活動に取り組み始めたことにより、約5万頭にまで復活したそうです。パトロール隊や記者の存在に加えて、こういう映画を作る監督の姿勢もすごいです。

2004年中国映画
上映時間:1時間28分
http://www.sonypictures.jp/movies/mountainpatrol/
日比谷・シャンテシネなどで上映中

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