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清水雅彦の映画評

第0056回 (2006/07/17)
『デスノート』〜日本社会の野蛮さ・未熟さが人気の背景?

警察官僚を目指して一流大学で法律を学んでいたが、度重なる凶悪犯罪者の不起訴・無罪判決などに法の限界を感じていた夜神月(やがみライト/藤原竜也)は、ある日、名前を書いた人間が死ぬという死神リューク(声・中村獅童)の落とし物「DEATH NOTE」を手に入れる。月は犯罪者の存在しない理想の世界を作るために、次々とノートを通じて犯罪者を殺していく。犯罪者の不審死が相次ぐ中、インターポールは天才L(松山ケンイチ)を警察庁に送り込み、月とL・警察、FBIとの闘いが始まり……。

本作品は『週刊少年ジャンプ』で連載され、単行本の発行部数が1900万部を突破したという大場つぐみ・小畑健原作人気コミックの映画化作品。今回上映のものは前編で、11月に後編が公開される予定です。物語の中では、犯罪者の死を救世主・キラの出現として歓迎する社会の空気も描き、月の行為は正義か悪かを問うているようです。

本作品の金子修介監督は、作品プログラムの中で月の行為を「感動に近いまでの『悪』」と言い、「月は、世界を相手にひとりで闘っている革命者」「民主主義によって犯罪者が許され、街に解き放たれる状況が生まれた現代」とまで表現しますが、大学レベルの法学・政治学をきちんと学んで出直した方がよさそうです。それはさておき、昨今の凶悪事件に対するマスコミ・世論の厳罰化論からすれば、月に感情移入する人も多いでしょう。しかし、もちろん客観的証拠に基づかない月の私刑は絶対に許されません。

かといって、月を追う側にも問題があります。死刑囚の利用、監視カメラの使用、FBIの国内活動、警察活動主体の広範さです。法的知識が未熟な子ども向けマンガ雑誌(いい年した大人になれない大人も読むようですが)に、単純な二元論やずさんな法律論に基づくマンガが掲載され売れるのが、死刑全面廃止国数が存置国数を上回りながらマスコミも世論も厳罰化を求める野蛮で未熟な「非先進国」日本社会の実状なのでしょう。

2006年日本映画
上映時間:2時間2分
http://wwws.warnerbros.co.jp/deathnote/
全国各地で上映中

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