清水雅彦の映画評
第0063回 (2006/08/20)
『I am 日本人』〜題名からしてセンスが悪いが、一部共感
米国・カリフォルニア州に住む日系3世のエミー・ワタナベ(森本クリスティーナ)は、日本の大学へ留学することになった。日本では遠い親戚にあたり、八百屋を経営する宮本健一(森田健作)の家に住むことになる。祖父から聞いた大和魂の国・憧れの日本。しかし、エミーが見たのは、マナーが悪く、「国歌」を歌わず、親や教師をバカにする日本人たち。一度は「日本なんか、サイテー」と叫んでしまったエミーだか……。
本作品は、出演のみならず製作総指揮・企画・原案・脚本を森田健作が務めた作品。日本人のモラル崩壊、親子の断絶、家庭・学校の崩壊や国を愛せない姿に危機感を抱き、失われてしまった日本の良き伝統や意識を改めて問うべく作ったそうです。
いやー、それにしても映画のレベルが低い。「『国歌』を歌おう」「『国旗』に敬意を」という主張、『俺は男だ!』の乗りで剣道で「まちの復興」という設定、昔の陳腐なテレビドラマのような展開。今どきこんなにセンスが悪い映画は無理でしょう。
しかし、日本人に対する森田健作の危機感には一部共感できます。私は日本人が嫌いなのですが、日本人として生まれた以上、日本人として生きていかなくてはならないという立場です。悪い面は認め改善しつつ、継承すべき日本の伝統や美徳・誇りなどはあると思います。子どもの問題以前に、いい年した大人のマナーの悪さ、黒髪を茶髪・金髪にすること、失われていく義理人情や礼節・気配りは日本人として残念に思います。
こう思うのは、私自身、小中学生時に剣道とボーイスカウトをやり、中学で野球部・高校で応援団に所属していたからでしょうか。平和や人権問題に取り組む人たちと気質が合わないと思うことがよくあるし、主張は立派でもそれ以外ダメな人が多くてあきれます。是非、「よき日本人」を考えさせるセンスのいい映画を作ってほしいものです。
2006年日本映画
上映時間:1時間51分
http://www.iam-nipponjin.com/新宿トーアなどで上映中
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