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清水雅彦の映画評

第0070回 (2006/10/18)
『ザ・センチネル 陰謀の星条旗』〜「内部」への監視は「緩い」ホワイトハウス

レーガン大統領暗殺を防いだシークレット・サービスのギャリソン(マイケル・ダグラス)は、現在、バランタイン大統領のファースト・レディ(キム・ベイシンガー)の警護にあたっていた。そんなある日、ギャリソンの同僚(クラーク・ジョンソン)が自宅前で射殺される。トップ調査員のブレキンリッジ(キーファー・サザーランド)は、新米のマリン(エヴァ・ロンゴリア)らと捜査に乗り出す内に、大統領暗殺計画と計画へのシークレット・サービス関与の情報が寄せられる。そして、ギャリソンが疑われ……。

本作品の監督はキャストとしても登場し、『S.W.A.T.』で長編監督デビューしたクラーク・ジョンソン、原作はシークレット・サービスからサスペンス小説家になったジェラルド・ペティヴィッチ。これまで4人の大統領が暗殺されたアメリカで、141年間大統領警護にあたってきたシークレット・サービスに裏切り者がいたという設定です。

前半、誰が裏切り者なのか、予測がつかない展開で引き込まれます。ストーリー展開も無駄がなく、飽きさせません。しかし、途中で突然、大統領暗殺計画の黒幕が登場し(その設定も陳腐)、人間関係がわかると、緊張感がなくなりがっかりしてしまいます。前半からの緊張感がラストまで続けば、完成度の高い娯楽作品になったのに。

とはいえ、この映画で大変興味深いのは、今のアメリカの国家権力による監視と捜査技術のレベルがよくわかることです。市民がここまで監視・捜査されてしまうというのは、恐ろしいものです(一エージェントによっても)。一方で、クリントン大統領の不倫問題もありましたが、映画ではギャリソンとファースト・レディが不倫関係に(もっとも、原作では暗殺計画の黒幕はファースト・レディであるという設定になっており、映画でもそうした方がよかった思いますが)。これだけ「完璧」に見えるほど「外部」への監視を強めても、「内部」が「緩い」という設定は権力者への皮肉ですね。

2006年アメリカ映画
上映時間:1時間48分
http://movies.foxjapan.com/sentinel/
全国各地で上映中

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