No.3の記事

今も眠る、棄てられた毒ガス

日時:9月7日(水) 場所:ピースボートセンター東京
ゲスト:海南友子さん(ドキュメンタリー映画監督)

DVD鑑賞 ---「にがい涙の大地から」ダイジェスト版---

実は、2年前までこの件についてあまり知らなかった。2年前に勉強を兼ねて中国をいろいろ回ってみた。その時にリュウ・ミンと出会った。最初は「性格の暗い人」というイメージを受けた。が、話していくうちに彼女の父親が日本軍が残した砲弾の被害で亡くなったことを知った。しかも、1995年という最近のこと。自分よりも若い人が最近になって被害を受けているということで衝撃を受け、興味をもった。それから調査をして、これまでに60人くらいの被害者に会った。

ではなぜ砲弾や毒ガスが遺棄されているのか?
1929年から日本軍は毒ガスを作り始めた。日本の大久野島で作り、台湾、中国、ベトナムで使用した。これは国際条約に違反していた。
そのため、敗戦直前に証拠を隠蔽するために、毒ガス/化学兵器だけを土に埋めるようにとの命令が軍部の上部から下った。そして急遽毒ガス/化学兵器を遺棄して軍隊は帰還した。

それがなぜ最近見つかるの?
戦後、農地としてしか使われていなかった土地が、最近の中国の経済発展のゆえに、大きな建物の建設が始まった。そこで、最近になってこのような建設現場で毒ガスが埋められているくらいまで土地が掘り起こされ、被害が出てきている。その度に中国ではメディアで報道され、関心が高い。(日本との違いは明らか。)

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!比べてみよう!
現在の日本と北朝鮮の関係と同じなのではないか?
拉致問題をめぐって日本では北朝鮮バッシングが続いている。一方、朝鮮では報道されない。北朝鮮は自分の国に都合の悪いことは報道しない国家体制であるが、日本はそのような報道をしてもよいのにも関わらず、一方的なバッシング報道が起きている。そうなると、むしろ日本の今の状況の方が怖いのでは?
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日本政府は、毒ガスの遺棄場所について、60年間一回も聞き取り調査をしていない。
70万発も埋まっていることを認めているにも関わらず、その場所について、そして状況について調査していない。(中国政府は180−200万発と予想している。)

日本にも同じように危険がある。日本軍が遺棄して終戦を迎えた。昔の日本が中国に及ぼしたこと、というよりも今日本でも「そこにある危機」である。

海南さんの姿勢:
自分の国が実際に国際法に違反した毒ガス/化学兵器を作っていて、それが今でも被害を生じている。存在するかしないかわからないイラクの大量破壊兵器のために、大量の資金をかけて自衛隊をイラクに派兵するよりも、この毒ガス事件に対して資金をかけたらどうか?戦後の平和な時代にまだ被害者が出続けるという点で、地雷と類似した状況。この問題に取り組むことで、将来の日本と中国の関係改善に繋がるのではないかと信じて取り組んでいる。