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四谷ご近所物語ー1ー 〈和田聖仁弁護士〉

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 事務所のある四谷には弁護士事務所も多く、縁もゆかりもある住人がたくさんいる。同業者だけでなく時代を遡ると様々な方々がここにいた。事務所から徒歩5分以内に限っても顔見知りの弁護士は軽く100名を超える。新宿通りから小路を入った住宅地にもぽつりぽつりと同業者が潜んでいるのである。

 表通りの都民総合に25年いたので同業者事情にはちょっと詳しい。都民総合の入っている小さなビルだけでも鳥取県や島根県の全弁護士数を超える数の同業者がひしめいていた。春になるとご近所の事務所と合同でお花見の宴を張ったこともある。場所はもちろん四谷見附の外堀沿いの土手、桜の名所である。 

四谷見附の交差点、丸の内線の乗り口へむかう横断歩道の上は弁護士と出会うポイントである。弁護士密度がやたら高いわけである。

 今日はそこを和田弁護士と渡った。午前10時30分、東京地裁の弁論で一緒だったのである。あの有名な「釧路の歩く憲法」今瞭美弁護士に対する業務妨害、名誉毀損事件。相手は武富士軍団である。弁護団の強者が参集した。和田先生はクレ・サラ・商工ローンヤミ金など消費者事件のエースである。宇都宮健児弁護士二世とも言われている。「ボクなんかだまされてこんな事件をやるようになった」とうれしそうにぼやきながら大きなカバンを持って歩いている。

 ついこないだまで私が毎日出入りしていたスーパー丸栄、そこの4階に事務所を構えている。都民総合のあったビルから3軒目、ご近所そのものであった。

 そこから小路を入ったところにある我が事務所にこれから表敬訪問するという。裏道を通って事務所近くに来ると和田さんの居るビルが見える。急に「近くですね」と一言。

 きっと和田さんはいつも一生懸命歩いていて、四谷見附の大きな交差点の歩道にある植え込みになぜか朝顔が植えられていることや事務所の道すがら生け垣や庭からこぼれるような花々が咲いているのも知らないと思う。

 15年も後輩の和田さん、私も木々や花々に目がいくようになったのはここ5年。しみじみと年ですね。