2005(平成17)年7月6日
厚生労働大臣 尾辻秀久 殿
全 面 解 決 要 求 書
中国「残留孤児」国家賠償訴訟原告団全国連絡会
中国「残留孤児」国家賠償訴訟弁護団全国連絡会
中国「残留」日本人孤児は、日本の国策である満州移民政策が生み出した犠牲者である。にもかかわらず、日本政府が敗戦以来取ってきた孤児政策は、政策とは言えないほど貧困である。日本政府は、本訴訟を機に、「残留孤児」に対する施策を抜本的に転換し、「孤児問題」の全面解決を図るよう要求する。
1 責任の明確化と謝罪
(1) 早期帰国のための施策をとらずに「残留孤児」を中国に放置し、帰国後も十分な支援策を立案実施しなかったことの責任を認めること。
(2) その結果、「残留孤児」に多大な犠牲を強いたことに対し謝罪すること。
2 生活保障・生活支援
(1) 「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立支援に関する法律」(自立支援法)を改正し、国の責任において「残留孤児」の生活を保障する旨明記すること。
(2) 「残留孤児」の生活保障のため、「残留孤児」を対象とした新たな給付金制度を創設すること。
「残留孤児」が死亡した場合には、遺族年金として、配偶者に継承させること
(3) 残留孤児が、地域で孤立することなく、また安心して医療を受け、住宅を確保できるよう、生活全般にわたる支援制度を整備すること。
(4) 都道府県に1〜2カ所の日本語教育を受けることができる機関を設置すること。
(5) 働く意欲と能力のある者に労働の場を保障すること。
3 二世・三世対策
下記のような二世・三世の自立を支援する施策を確立すること
(1) 就学・就労の支援を行うこと。
(2) 住宅確保の支援を行うこと。
(3) 国籍取得、在留資格の付与を容易にすること。特に国籍法附則第5条を改正して、女性孤児の子の国籍取得を容易にすること。
(4) 日本語教育の支援を充実すること。
(5) 安易に送還を行わず、残留孤児の家族であることに十分配慮すること。
4 歴史的検証・啓発活動
具体的には、満州移民政策や引揚政策についての歴史的検証をすること、「残留孤児」が生まれた歴史を教育の場で教えること。
5 損害賠償
(1) 国の政策によって原告ら「残留孤児」が受けた損害を賠償すること。
(2) 訴訟遂行費用を支払うこと。
6 定期協議
「残留孤児」問題の抜本的解決のため、原告団・弁護団と厚生労働大臣が定期的に協議する場を設けること。
7 関連する事項
(1) 残留婦人にも同等の支援政策を行うこと
(2) 在中国「残留孤児」について、家族を分断することなく、希望する者の早期帰国をはかるなど、適切な施策をとること。
(3) 「残留孤児」の養父母について、国として、謝恩の事業など適切な施策をとること。