No.64の記事

岩手靖国訴訟

「法学館憲法研究所」からご連絡をいただいた。ホームページでの新しい企画への協力依頼。
「全国憲法MAP」と題するページを設け、憲法に関する各都道府県における裁判や運動を順次紹介するのだという。「各地にお住まいの皆さまが憲法をより身近に感じ、生活に密接にかかわる問題として語り合える機会を増やすことができれば幸いであると考えております」とのこと。まことに結構なことではないか。
その第3回として岩手県の「岩手靖国違憲訴訟」を採りあげるので、「この裁判に関連する文章などをご寄稿いただきたい」との依頼。
世の中、捨てたものでもない。こんなことを熱心にやっている人もいるのだ。
私は盛岡の生まれだが、父方のルーツは黒沢尻。今は、北上市の一部。
1970年代のことだが、その北上市に「政教分離を守る会」という市民運動組織ができた。宗教家と教育者と社共の活動家などがこれに参加した。
国家神道が臣民の心の内奥を支配したことについての苦い記憶と、靖国公式参拝への危機意識が、この市民運動を立ち上げた。
この人たちの運動が盛岡にも飛び火して、岩手靖国訴訟を立ち上げ、大きな成果をあげた。
1991年1月10日、仙台高裁は、「天皇と首相の靖国神社公式参拝は違憲」「県費からの玉串料奉納は違憲」と明確な判断を示した。私も、いささかの役割を担ったこの北上と岩手県の運動に、いまだに誇りをもっている。