「報道・表現の危機を考える弁護士の会」が作成した申入書を持参して、朝日新聞社に要請に出かけた。
今年1月12日付の朝日の「戦時性暴力番組」改変記事で、われわれは「NHK問題」を知った。NHKが自民党筋の圧力に弱いこと、安倍・中川といった強面の政治家がNHKににらみをきかせていることを知った。これはたいへんな事態だと思った。日本のメディアのあり方に危機的を抱かざるを得ない。
ところが、10月1日の朝日の紙面でまたまた驚いた。今度は、「朝日問題」だ。あの貴重な記事について、「理不尽な攻撃から断固守る」というのではなく、取材についての詰めの甘さを反省してしまった。完璧な取材を要求したのでは、協力者以外からの取材はできない。調査報道は不可能だ。これでは権力に切り込めない。
石原慎太郎が308万票を取り、自民党が296議席を獲得するこの時代。憲法の改悪が進み、右翼が跳梁するこの時代に、朝日が権力に屈したらどうなる。第一線記者の意気を阻喪させかねない、このたびの朝日の態度は看過し得ない。
さらに、他のマスコミ各社の態度も解せない。朝日攻撃の尻馬に乗ることは、自らの首を絞めることにつながるとは思わないのだろうか。
そんな思いで午前中に朝日に赴き、午後は記者会見に臨んで、「緊急声明」を発表した。あらためて問題の重要性を噛みしめている。
なお、会の「申し入れ」と「緊急声明」は、当サイトの「ひろば」欄に掲載する。